システムアーキテクト試験とは?難易度や取得するメリット、勉強方法を解説

システムアーキテクト試験を取得していると、上流工程の技術や知識があることの証明となり、エンジニアとしての市場価値向上につながります。しかし、システムアーキテクト試験の難易度は高く、簡単に取得できる資格ではありません。
その分、取得できるとさまざまなメリットがあり、エンジニアとしてのキャリア戦略にも役立ちます。まずは、システムアーキテクト試験の概要を理解し、自分にあった勉強方法で資格取得を目指しましょう。
この記事では、システムアーキテクト試験の取得を目指すにあたって理解しておきたい具体的な内容と、試験対策に役立つおすすめの参考書を紹介します。
目次
システムアーキテクト試験とは

システムアーキテクト試験は、IPAの実施する情報処理技術試験のなかでも難易度の高いとされている国家試験です。システムアーキテクトは、システム開発の上流工程を担当する上級技術者を指し、システムの開発工程を主導する役目も担います。
このような業務を担うために必要な知識やスキルを評価するのが、システムアーキテクト試験です。そのため、資格が保有できると十分な知識やスキルがあることの証明となり、エンジニアとしての市場価値が高まります。
簡単な試験ではありませんが、これからエンジニアとして活躍したいと考えている方は、ぜひ取得しておきたい資格のひとつです。
試験日程と実施場所
システムアーキテクト試験は、例年4月の第3日曜日に実施されています。また、申込期間は1月〜2月に設定されていることが多いです。受験を考えている方は、1月頃に公式サイトを確認するとよいでしょう。
試験は全国56都市で実施されていますが、試験会場の指定はできません。試験会場は、申し込み後に送付される受験票で通知されます。
また、会場の定員数を超えた場合は他地域の試験地を指定される可能性もあるため、受験票到着後は試験会場の確認を忘れないようにしましょう。
受験料

システムアーキテクト試験の受験料は、7,500円です。申し込み方法はインターネット受付のみで、団体受付や郵送などは行っていません。
また、申し込み締切直前はアクセスが集中してつながりにくくなる可能性があります。受験を決めたら、できるだけ早めに手続きを行うことがおすすめです。
システムアーキテクト試験は誰でも受験が可能で、取得しているとエンジニアとして、活動の幅が広がります。特に、実務経験が短い方は取得している資格から持っているスキルを判断されることも少なくありません。
私たちテクニケーションでは、資格取得を目指しながらでもスキルアップができる、チーム制を導入しています。これにより、経験が浅い方でもさまざまな実務経験を積める環境になっています。
実際に全体の約40%がチーム参画をしており、経験の浅い方は経験豊富な先輩にフォローしてもらいながら、自身のスキルアップにつなげています。
働き方を優先したい・経験を優先したいなど、自分の希望に近い方とチームを組むことも可能です。それぞれの希望が近い方とチームを組むことで、理想的な経験や働き方を実現しやすくなります。
また、資格取得支援制度も設けており、会社が推奨するJavaGoldやLPIC-3などの資格取得の受験費用や参考書代支給といった資格取得に意欲的なエンジニアのサポートも行っています。
ぜひ、テクニケーションでエンジニアとしてのスキルアップや、理想的な働き方を目指しませんか?まずはカジュアル面談で、あなたの悩みや理想の働き方をお聞かせください。
合格率
システムアーキテクト試験の合格率は、2021年〜2024年の統計をみると、15%前後を推移しています。以下は、2021年〜2024年の受験者数と合格率です。
- 2021年(受験者数・合格率):3,433名・16.5%
- 2022年(受験者数・合格率):3,474名・15.0%
- 2023年(受験者数・合格率):3,679名・15.8%
- 2024年(受験者数・合格率):3,666名・15.0%
この数値から、難易度の高い試験であることが読み取れます。取得するためには、現場での豊富な実務経験はもちろん、計画的に勉強を進めていくことも重要です。
システムアーキテクト試験の出題形式と試験時間

システムアーキテクト試験は、1日のなかで4つの時間帯にわけて実施されます。午前Ⅰ試験・午前Ⅱ試験は選択式、午後Ⅰ試験・午後Ⅱ試験は記述式や論述式と、それぞれ異なる出題形式であることが特徴です。
ここでは、それぞれの試験時間や出題形式、主な内容などについて解説します。試験ごとの対策を行うためにも、しっかりと確認しておきましょう。
午前Ⅰ試験
午前Ⅰ試験は、高度試験で共通の問題であり、応用技術者試験の午前試験と同じ範囲から出題されます。そのため、試験内容は応用技術者試験と同程度のレベルで、テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の3分野の知識が問われる試験です。
- 試験時間:9:30〜10:20(50分)
- 出題形式:多岐選択式(四肢択一)
- 出題数:30問
- 解答数:30問
- 合格基準点:60点以上(100点満点)
午前Ⅰ試験には免除制度があり、過去2年間で応用技術者試験・高度試験・支援士試験に合格または、午前Ⅰ試験で基準点に達している方は、午前Ⅰ試験の免除を受けられます。
ただし、申し込みの際に申請を忘れると免除対象者であっても免除にならないため、対象となる方は忘れずに申請を行いましょう。
午前Ⅱ試験

午前Ⅱ試験では、午前Ⅰ試験よりも幅広く、難易度の高い問題が出題されます。試験時間や出題形式は以下のとおりです。
- 試験時間:10:50〜11:30(40分)
- 出題形式:多岐選択式(四肢択一)
- 出題数:25問
- 解答数:25問
- 合格基準点:60点以上(100点満点)
午前Ⅰ試験の範囲にくわえて、システム開発技術やソフトウェア開発技術、システム企画などもおさえておきましょう。
午後Ⅰ試験
午後Ⅰ試験は、主に情報システムから出題されます。午前試験とは出題形式や内容が異なることが特徴です。
- 試験時間:12:30〜14:00(90分)
- 出題形式:記述式
- 出題数:3問
- 解答数:2問
- 合格基準点:60点以上(100点満点)
実践的な内容が問われる午後Ⅰ試験は、長文問題から出題となるため、文章や図表から正しい情報を読み取る力が必要です。
午後Ⅱ試験
午後Ⅰ試験は短めの記述ですが、午後Ⅱ試験になると指定文字数が増え、知識はもちろん文章力も求められます。
- 試験時間:14:30〜16:30(120分)
- 出題形式:論述式
- 出題数:2問
- 解答数:1問
- 合格基準点:ランクAのみ合格(ランクA〜D)
午後Ⅱ試験は、設問で要求された項目の充足度や内容の妥当性、文章作成能力などが評価の視点となる試験です。
システムアーキテクト試験の難易度

上級技術者を目指す方が受験するシステムアーキテクト試験は、情報処理技術試験のなかでも難易度が高いといわれている試験です。実際に、合格率は15%前後を推移しており、簡単に取得できる資格ではないことがわかります。
また、2024年度における合格者の平均年齢は36.3歳となっていることからも、さまざまな実務経験から得た知識やスキルが必要であることが読み取れるでしょう。
さらに、4つの試験それぞれの特徴にあわせた対策が必要なことも、難易度の高い試験といわれる理由のひとつです。
特に、論述式の午後Ⅱ試験は技術的な知識の深さだけでなく、文章構成力も必要とされています。そのため、試験対策の際には、システムの概要や工夫した点などを文章で表す練習も欠かせません。
勉強を進める際は、試験ごとの特徴を理解し、効率的に進めていくことがポイントです。
システムアーキテクト試験を取得するメリット

高難易度で取得が難しいシステムアーキテクト試験ですが、取得するとさまざまなメリットが得られます。資格取得によって、エンジニアとしての課題の解決やキャリアアップにつながるかもしれません。
ここでは、システムアーキテクト試験を取得する5つのメリットを具体的に解説します。
IT関連のスキルや知識の証明になる
システムアーキテクト試験を取得すると、高度なスキルや知識を持っていることを客観的に証明できるようになります。特に、システム開発の上流工程を担える証明となるため、挑戦できる案件の幅が広がるでしょう。
また、上流工程を担当してほしい・このプロジェクトに参画してほしいなど、さまざまな案件に声がかかりやすくなります。さらに、システムアーキテクト試験は国家資格であるため、周囲からの評価が高くなることもメリットのひとつです。
市場価値を高められる

エンジニア市場は、実務経験年数や保有しているスキル、技術力などから人材を評価します。特に、上流工程に必要なスキルや技術力は、実務経験年数でみられることがほとんどです。
システムアーキテクト試験を取得していると、上流工程を担えるスキルや技術力があることを、実務経験年数以外でアピールできるようになります。
アピールする手段が増えることで、エンジニアとしての市場価値が高まり、好条件な案件への参画にもつながるでしょう。
さまざまな案件に挑戦して、エンジニアとしての市場価値をさらに高めていきたいという方は、テクニケーションで一緒にキャリアを築いていきませんか?
テクニケーションでは、自分で案件を選べる案件選択制を導入しています。案件選択制により納得して案件に挑戦できるため、スキルアップだけでなく、高いモチベーションを維持しながら満足感のある業務を行うことが可能です。
よりよい選択ができるように、それぞれが抱える課題の解決や、エンジニアとしての市場価値の向上をサポートします。
エンジニアとしての市場価値や、今後のキャリアについてお悩みの方は、まずはカジュアル面談にお越しください。あなたの希望を叶えるために私たちがサポートします。
ほかの資格の一部試験が免除される

システムアーキテクト試験を取得していると、以下のような資格で一部免除制度を受けられます。
- 中小企業診断士試験:第1試験科目の一部免除
- 弁理士試験:論文筆記試験選択科目(理工Ⅴ情報)の免除
- 技術士試験:第一次試験の専門家科目(情報工学部門)の免除
上記以外にも、ITコーディネータ試験の一部が免除される、専門スキル特別認定試験の受験が可能です。
収入アップを望める
システムアーキテクト試験の取得でエンジニアとしての市場価値が上がると、収入アップに期待ができます。これは、資格取得によって確かな技術を保有していることが証明でき、周囲からも高い評価を受けられるからです。
また、企業によっては資格手当や報奨金制度などを設けていることもあります。これらは企業によって異なるため、勤めている企業の手当内容や制度について確認してみるのがおすすめです。
職場を変えるときに有利になる
システムアーキテクト試験の取得は、エンジニアとしての市場価値が高まるため、転職時に有利になります。特に、システムアーキテクトを担える人材はまだ少ないため、積極的にアピールするとよいでしょう。
その際、マネジメント能力もアピールすることで、よりよい条件で転職できる可能性があります。
システムアーキテクト試験の勉強方法

システムアーキテクト試験は4つの試験があり、それぞれ試験範囲や出題形式が異なるため、試験ごとに対策が必要となります。また、出題範囲が広いため、計画を立てて勉強を進めることが重要です。
ここで紹介する2つの勉強方法を参考にして、自分にあった計画を立てて勉強を進めていきましょう。
過去問を繰り返し解く
システムアーキテクト試験の4つの試験のうち午前試験の2つは、過去問を繰り返し解き、できる問題を増やす方法がおすすめです。
ただし、午前Ⅱ試験には定番の問題はなく、毎年新しい事例に関する問題が出題されます。そのため、過去問だけでなく新しい情報を収集をすることも必要です。
システムアーキテクト試験の過去問は、IPAのサイトで公開されています。IPAのサイトには解答に対する解説はないため、参考書を活用して勉強するのがおすすめです。
受験指導校の講座で勉強する
システムアーキテクト試験は出題範囲が幅広く、午後の試験の記述式と論述式では、知識にくわえて文章力も必要となります。そのため、独学で勉強を進めるのは難しいかもしれません。
独学での勉強が難しい、という方は受験指導校の講座を活用するのもおすすめです。受験指導校の講座では、試験までの勉強計画を立ててもらえたり論述式の添削を受けられたりするため、効率よく資格取得を目指せます。
システムアーキテクト試験のおすすめの参考書

システムアーキテクト試験は、試験ごとに対策をする必要があります。まずは、選択式の午前Ⅰ・午前Ⅱ試験の対策におすすめの参考書はこちらです。
- うかる!情報処理教科書 高度試験午前Ⅰ・午前Ⅱ
- 高度午前Ⅰ・応用情報 午前試験対策書
うかる!情報処理教科書 高度試験午前Ⅰ・午前Ⅱには、読者特典でWebアプリがあり、書籍内で学んだことをアプリで復習できます。また、どちらも丁寧でわかりやすい解説がついているので、ITの基礎知識理解にも役立つでしょう。
午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱ試験でおすすめの参考書はこちらです。
- うかる!情報処理教科書 システムアーキテクト
- ALL IN ONE パーフェクトマスター システムアーキテクト
問題演習が豊富に用意されており、わかりやすい言葉での解説があるため、効率的な勉強が可能です。
また、これらの参考書は、毎年新しい傾向と対策を取り入れて改訂されています。その年にあった試験対策を行うためにも、受験する年の新しい参考書を購入するようにしましょう。
システムアーキテクト試験を取得してキャリアアップを目指そう

システムアーキテクト試験の取得後は、キャリア戦略の立て方が重要です。キャリア戦略としては、より好条件な案件への参画や収入アップを目指すなど、さまざまな方法があります。
その方法の一つとして、私たちテクニケーションが提供する高還元SESを活用してみませんか?高還元SESとは、エンジニアの単価に対する還元率が高いSES企業です。
テクニケーションは、単価給与連動制によってエンジニアがプロジェクトの単価に応じた報酬を得られます。そのため、実力のある方ほど高収入を得やすい仕組みです。
また、会社間単価はエンジニアに開示しているため、納得のうえでキャリアを重ねられるのも魅力の一つです。テクニケーションでは、一人ひとりのペースにあわせたチャレンジが可能で、理想の働き方を実現しやすい環境が整っています。
キャリア戦略の立て方や今後の働き方などの悩みがある方は、ぜひカジュアル面談にお越しください。