システムエンジニアの残業が発生する理由|平均残業時間や対処法、残業が少ない企業を選ぶコツを解説

日々残業を余儀なくされ、疲れ切った状態で働くシステムエンジニアは少なくありません。労働量の多さを自覚しつつも「仕方がない……」と半ば諦めの境地に達している方もいるでしょう。
残業時間は所属企業やプロジェクト数の影響を受けるものの個人の努力次第で改善が期待できます。特に対策をせず甘んじて過酷な労働環境を受け入れている場合、対策はないか検討してはいかがでしょうか?
本記事ではシステムエンジニアの残業が多い理由や平均残業時間、対処法、長時間労働が少ない企業選びのコツを紹介します。
目次
システムエンジニアの残業が発生する理由

システムエンジニアはIT業界全体のニーズが増える一方、急な仕様の変更やバグの対応に迫られる場面が少なからずあり、残業が発生しやすい職業です。
しかし長時間労働の原因はさまざまな事柄が考えられ、背景にある事情はケースバイケースです。ここではシステムエンジニアの残業を招くよくある理由を解説します。
人手が不足しているため
システム開発ができる人材の登用がうまくいかず、一人あたりの業務負担が増している企業は少なくありません。
経済産業省のIT人材供給に関する調査によると、2030年時点でIT人材の不足は160,000〜790,000人に達するとみられています。
数字に幅がある理由は生産性の向上およびIT需要の不確実性を見込んだためです。いずれにせよ、IT業界は深刻な需要過多が発生しているのは事実です。
システム開発プロジェクトの発足にあたり、要件定義やクライアントとの交渉を担うシステムエンジニアの存在は欠かせません。重要な役割にも関わらず人手不足のため、一人あたりの担当案件数の増加を招き、結果的に残業量が増えています。
納期厳守が優先されるため
システム開発の現場では納期の厳守が優先されるため、間に合わせるべく期日直前は残業が増加する傾向があります。予定どおりに納品しないとクライアントの事業に影響を及ぼしかねません。
また債務不履行にあたれば、契約の解除や料金の減額といった不利益を被ります。
そのため深夜残業や休日出勤など多少無理な働き方をしてでも遅れを取り戻そうとします。
急な仕様変更やトラブル対応が発生するため

システム開発の現場は急な仕様変更やトラブルへの対応がつきものです。開発がある程度進んだ後に設計のやり直しを迫られたり、テストの際にバグが発生して原因究明に手間取ったりといった状況は日常茶飯事です。
アプリやツールの開発の際には、仕様が固定した後に進めるケースは多くありません。はじめに必要な機能のみリリースした後、フィードバックを受けて改善を繰り返すアジャイル開発(柔軟で迅速な対応を重視する開発)がよく採用されます。
技術の進化にキャッチアップして環境に見合ったシステムを納品するためには、急な仕様変更やトラブルへの柔軟な対応は欠かせません。
スキルが高い人に業務が集中するため
スキルがある人材に業務が集中した結果、一人あたりの残業量が増えるパターンです。
クライアントの要求を満たすシステムを納期内に納品すると考えると、優秀な人材の活用は不可欠です。
経験が豊富で技術力やコミュケーションに長けたシステムエンジニアに優先して案件が割り当てられます。一方でスキルが低い人材は窓際に追い込まれ、最終的に仕事を失う事態につながるでしょう。
担当数の増加は高評価の証ともいえますが、頑張りすぎて疲れ切った状態が慢性的になっていては問題です。
残業が常態化してしまっているため
残業が常態化して、本人も企業側も今さら改善しようと思えなくなっている場合もあります。IT業界は慢性的な人手不足のため、毎日夜遅くまで働くことを余儀なくされる場合が少なくありません。
次第に業務と休憩の境目がなくなり、労働時間が不透明になるケースに陥ることも多々あります。システムエンジニアの残業が当たり前になるのは業界特有の多重下請け構造が色濃く関係しています。
上流から下流へ業務が次から次へと委託された結果、下請け企業に厳しい納期が科せられることがあります。
業務が属人化しているため

専門性が問われるシステムエンジニアは業務が属人化しやすく、代わりの人材に任せにくい側面があります。
個別の要件定義に合わせる必要性も相まって、ほかの方に引き継ぎたくても往々にしてうまくいきません。
また、多くのプロジェクトを同時並行でこなすエンジニアは、体調不良が原因でパフォーマンスが落ちることがあります。休みたくても休暇を取得すると納期の遅延につながるため、無理をしてでもやり遂げようとします。
業務の属人化は本人が顕在なら大きな問題にはなりませんが、定年退職や転職で職場を離れたときに致命的な問題を引き起こす可能性が高いです。
マネジメント業務が多いため
自分の仕事に加えてチームメンバーのマネジメント業務が伴うこともシステムエンジニアの残業が増える一因です。
規模の大きなプロジェクトや中堅以上のシステムインテグレーターで働く場合、人員管理が必要となることが多いです。
人事評価や残業時間の入力、上長となるプロジェクトマネージャーへの報告に日中の時間を割かれます。プログラミングや仕様書の作成など自分のタスクを余った時間で対応せざるを得ず、結果的に残業の増加を招くというわけです。
プロジェクト次第ではリスク管理やトラブル対応、クライアント対応がシステムエンジニアに任されるケースも確認されています。
システムエンジニアの平均残業時間

自分の残業が多いのか少ないのかわからないと感じている方は、同業者と労働時間を比べてみてはいかがでしょうか?システムエンジニアの平均的な残業時間は20〜30時間だといわれています。
ただし企業ごとにばらつきがみられ、30〜40時間、40時間以上の残業を強いられるケースも珍しくありません。厚生労働省が2023年2月に公表した毎月勤労統計調査によると、一般労働者の月平均残業時間は13.8時間です。
調査対象の母体が異なるため単純に比較はできませんが、システムエンジニアはほかの業界や職種より労働時間が長い傾向にあるといえるでしょう。
システムエンジニアの残業の対処法

残業が多い状況が続くと、疲れからパフォーマンスの低下を招く場合があります。
心身への悪影響をもたらす可能性を考えると一刻も早く対処を検討した方がよいでしょう。システムエンジニアの残業の削減に効果的な方法は次のとおりです。
業務の効率化をはかる
タスク管理ツールの導入や自己管理の徹底をはじめ、業務効率化を検討しましょう。ミスや手戻り、忘れ物が多い方はTodoリストの活用を始めると作業能率の向上を期待できます。
また朝型の生活に切り替え、頭が働く時間帯に収集してタスクをこなす時間管理術の取り入れも効果的です。システムエンジニアの仕事はチームで協働するケースが多いですが、まずは自分一人で取り組める範囲で効率化を進める方が先決です。
チーム内でノウハウを共有する
チーム内のコミュニケーションを密に図り、情報共有や進捗管理をこまめに行うと労働時間の削減につながります。
同じタスクを別々の人物がこなすような非効率な状況を未然に防ぐほか、ノウハウをメンバーに提供してチーム全体の効率化を押し進める効果があります。
ときにはプロジェクトの進行中でも余裕があるエンジニアにタスクを振り分ける柔軟な対応が必要です。
上司や社内の関連部署に相談する
過度な業務量に深刻に悩まされている場合は、上司や社内の関連部署に対してタスクの調整を打診してもよいでしょう。
担当の案件数が多すぎる状況は個人やチームの工夫次第ではどうにもならないため、プロジェクトマネージャーや人事部、総務部にヘルプを求めるシチュエーションです。
休暇や休憩を取得してもよいか申し出ることも、ときには必要です。一定以上勤務し続けた従業員は労働基準法で定めた法的な権利として有給休暇が付与されます。
忙しいなか休みを申し出るのは勇気がいる行為ですが、リフレッシュによるパフォーマンスの改善は労働者にとって欠かせません。
転職する
「上司に働きかけても何の改善策も実行されない」「休暇の取得を申し出たら拒絶された」といった状況の場合、勤務先に問題があると考えられます。
エンジニア個人が努力しても状況の改善は期待できないため、転職を検討するのも一つの方法です。
転職先を探す際は福利厚生が整った企業を中心に探すとよいでしょう。有給休暇の取得率や従業員の働き方、オフィス環境にも目を向けることで、残業が慢性的な忙しすぎる事業所を避けることが可能です。
私たちテクニケーションは、エンジニアファーストのSES企業として、働きやすさを重視しています。案件選択制や高還元制度を採用しており、自分のキャリアに合った案件を選べるため、プライベートと仕事の両立がしやすく、モチベーション高く働ける環境が整っています。
エンジニアとして成長を実感し、安心感を持って働ける職場を探している方は、ぜひテクニケーションにご相談ください。あなたのキャリアに合わせた案件を選ぶことができます。
残業が少ないシステムエンジニアの職種

同じシステムエンジニアでも残業が少ない傾向にある職種があります。現状労働時間が長すぎて悩んでいる方は仕事内容の変更を上長や総務部に打診してもよいでしょう。
例えばインフラエンジニアやテストエンジニア、運用保守エンジニアは業務が定型化され、残業が少ない仕事です。
夜間のシステムメンテナンスやサーバーのダウンなど一部例外はあるとはいえ、忙しくない日は定時で帰ることが叶います。
開発に携わる機会がほぼないヘルプデスクエンジニアもイレギュラー対応の心配が少なく、残業時間が発生しにくい環境です。
システムエンジニアは残業を断れる?

納期遅延を防ぐ目的や突発的な対応によって生じる残業は基本的に拒否できません。労働契約で定められた義務に従い、報酬の対価を受け取る代わりに企業に労働力を提供する必要があります。
勤務先に命じられた残業は拒否できませんが、残業時間分の割増賃金を請求可能です。労働基準法によると法定労働時間は原則、1日8時間、週40時間です。
上記を超えて働いた時間に対しては最低1.25倍の割増率を乗じた賃金が支払われます。またシステムエンジニアのうち情報処理システムの分析や設計を担う方は、裁量労働制の適用を受ける場合があります。
実際の労働に関わらずあらかじめ労使で定めた時間働いたとみなして賃金に反映させる制度です。労働契約上は「月々〇〇時間分の残業時間分の給与を含む」と規定され、毎月定額の残業手当が支給されるケースが一般的です。
ただし所定の残業時間を超えて働いた場合は、別途割増賃金の請求が認められます。
勤務先が裁量労働制の適用を理由に残業代を支給しないと主張している場合は違法の可能性があります。労働基準監督署への告発を検討してもよい局面です。
エンジニアが残業の少ない企業を選ぶコツ

残業量は業界や職種だけでなく、勤務先に左右される事柄です。
転職やフリーランスへの転身を検討している方は、長時間労働が蔓延する企業を避けるためのポイントがあります。
自社開発メインの会社や元請けを選ぶ
基本的に自社サービスの開発がメインの会社、または元受け企業を中心に探すようにしましょう。仕様の変更や計画の調整の融通が利き、納期目前の深夜残業をはじめ、厳しい働き方を余儀なくされる局面が少ないためです。
多重下請け構造が蔓延するIT業界ではクライアントとの距離が遠く、関与する業者が多くなる下請けほど労働環境が厳しい傾向がみられます。
ただし自社開発メインの会社や元受け企業への転職は高度な専門性やマネジメント能力が問われるケースが多いです。転職を成功させるにはスキルの蓄積や戦略が重要です。
大量募集の求人を出している企業を選ばない
大量募集の求人は、人手不足が深刻で入社後に長時間労働を迫られるリスクが高く、おすすめできません。とりわけ一年中募集を続ける会社は、入社しても定着しない劣悪な労働環境だと推察されます。
発注元から依頼された仕事を担うだけで精一杯と化し、労務管理に手が回らない環境を強いられているケースが珍しくありません。経験者であれば参画の可能性が極めて高いとはいえ、大量募集の求人は避けた方が賢明です。
SESエンジニアとして働く
直接雇用ではなく、開発ニーズがある企業にエンジニアを供給するSESに所属する方法も考えられます。前述のとおり正社員雇用の場合、長時間労働が蔓延る企業を誤って選んでしまうリスクがあります。
一方SESは所属エンジニアの働き方に注意を払い、快適な労働環境を整えているケースが基本です。クライアントに対して高いパフォーマンスを発揮する人材を提供できるよう、福利厚生や給与体系、教育体制を充実させる必要があるためです。
テクニケーションではさまざまな側面から柔軟な働き方を提供しています。チーム参画制や単価給与連動制をはじめ、独自の支援体制であなたのSESデビューを応援します。
もしSESエンジニアとして新たな挑戦を考えているなら、ぜひご相談ください。カジュアル面談を通じて、あなたに適切なキャリアパスを一緒に見つけましょう。
システムエンジニアが残業が少ない職場で働くなら

システムエンジニアとして残業を減らしたいと考えているなら、SESの活用や転職を検討することが効果的です。
私たちテクニケーションは、エンジニア一人ひとりのライフスタイルに合わせた働き方を提案するSES企業です。フルリモートの案件もあり、案件選択制を用いて、エンジニアが自分の希望に合わせてプロジェクトを選ぶことが可能です。
さらに、高還元SESとして、エンジニアの努力やスキルが報酬に反映される単価給与連動制を整えており、チーム制でのサポートも充実しています。
これにより、働き方にあった環境で、安心感を持って業務に集中できる職場を実現しています。まずはあなたの現状や希望をお聞かせください。