医療系エンジニア(SE)に転職するには?仕事内容から必要なスキル、資格まで解説

SES企業で働くなかで、「このままでよいのだろうか」と将来に不安を感じたことはありませんか。次の案件の技術に追われる毎日のなかで、専門性を高めたい、安定した業界で働きたいと思い始める方も少なくありません。
医療現場では、ITエンジニアの需要が高まっています。背景には、少子高齢化の進行や医療DXの推進といった社会全体の流れがあり、電子カルテや業務システムの導入・刷新が急がれている現状があります。
「医療業界は専門性が高そう」と感じるかもしれませんが、開発経験やインフラ知識があれば、活躍できる領域は着実に広がっている状況です。
この記事では医療系エンジニアの仕事内容や求められるスキル、資格、キャリアパスを順に紹介していきます。
目次
医療系エンジニアの仕事内容

医療系エンジニアは、ITの知識を活かして医療現場を支える技術職です。担当業務は施設の規模や配属先により異なります。
この章では、院内SEと医療システム開発SEの2つに分けて、実際の業務内容を紹介します。
院内SEの仕事内容
院内SEは、病院内でIT機器やシステムの保守・運用を担う職種です。電子カルテやオーダリングシステムといった、医療インフラの安定稼働を支えるのが主な役割です。
医療機器との接続調整やソフトウェアの更新、ネットワーク設定などが業務の中心で、トラブル発生時には外部ベンダーと連携して対応します。
病院業務への理解が必要とされるため、社内SEやITサポートの経験がある方は適応しやすい分野です。
医療システム開発SEの仕事内容
医療システム開発SEは、病院やクリニックで使用するITシステムを設計・構築します。所属は開発企業で、導入支援や保守にも関わります。
主な対象は、電子カルテや診療報酬ソフト、地域連携ネットワークなどです。現場のニーズをもとに、要件定義からテストまでを担当するケースも多くあります。
近年はクラウド型やWebアプリの開発が増加しており、データベース構築やUI設計の経験も活かせます。ユーザー教育や医療職との調整を行う機会もあり、技術力とコミュニケーション力の両方が求められるでしょう。
医療系エンジニアの特徴

医療系エンジニアは、日常的に医療従事者や患者と関わりながら業務を遂行します。
この章では、院内SEと医療システム開発SEそれぞれの立場から、医療業界特有の職場環境や役割の違いを紹介します。
院内SEの特徴
院内SEは、医療現場に常駐してITシステムの保守や運用を担う職種です。障害が起きた際には現場と連携し、すぐに対応する判断力が求められます。
電子カルテや検査機器は診療に直結するため、対応には現場の判断を尊重する調整力が重要です。開発業務は少ない一方で、残業や休日対応が少なく、ワークライフバランスを重視したい方に向いています。
医療システム開発SEの特徴
医療システム開発SEは、病院やクリニック向けにシステムを提供する職種です。操作性や安全性を重視し、処理速度や誤作動防止にも配慮した設計が欠かせません。
構築するシステムは365日稼働が前提のため、一般的な業務系システムと比べて高い安全性と正確性が必要です。開発領域は診療予約から医療機器連携まで幅広く、法令やガイドラインへの対応も重要です。
業務システムの開発経験を持つ方でも、医療分野独自のルールに対応する柔軟さが求められます。
医療系エンジニアに求められるスキルと適性

医療系エンジニアには、開発スキルに加えて、診療中のトラブル対応や個人情報の取扱いといった現場での判断力と倫理観が求められます。
ここでは、職種ごとに必要とされるスキルや適性を紹介していきましょう。
院内SEに求められるスキル
院内SEに必要とされるITスキルには以下のような領域があります。
- 医療システムや関連機器
- システム運用・保守
- PC・サーバー・セキュリティに関する知識
- インフラ系ネットワーク
- 情報セキュリティ運用
ITスキルに加え、医療機関特有の環境に対応する柔軟性も欠かせません。診療フローや用語の理解を含め、突発的な不具合や問い合わせにも的確に対応する力が必要です。
医療システム開発SEに求められるスキル
操作ミスが診療に影響する現場では、設計段階から安全性や操作性を考慮した対応が求められます。
必要なスキルは以下のとおりです。
- 医療システムや機器に関する知識
- プログラミング(Java・C#・PHP・Pythonなど)
- データベース操作
- システム間連携
- 医療用データ構造の理解
- クラウド環境の設計・運用
- セキュリティ設計
医療系データには独自の構造があるため、開発経験に加えて専門知識と説明力が必要になります。
医療系エンジニアの適性

医療系エンジニアは、人とのやりとりが多い職種です。相手の立場を想像しながら丁寧に対応できる方に向いています。
医療制度や技術の変化に対して学び続ける意欲も大切です。特に、古いやり方を改善したいと考える方には、DX推進の分野で活躍しやすい環境があるでしょう。
どの現場で働くかによって求められる専門性も異なります。自分に合った分野で強みを伸ばす働き方が選べるのも、この職種の特徴です。
医療系エンジニアとしてキャリアを築くなら、自分の適性や目指す専門分野に合った案件を選べる環境が重要です。案件の種類が限られている環境では、理想的なキャリアを歩むことは難しいでしょう。
私たちテクニケーションでは、エンジニアの方が目指すキャリアに合わせて自由に案件を選べる案件選択制を採用しています。
スキルアップしたい分野や興味のある案件を選択できるため、無理なく着実にキャリアアップを目指すことが可能です。
新しい案件に挑戦してキャリアの幅を広げたいエンジニアの方は、ぜひ一度テクニケーションのカジュアル面談でお話ししませんか?
医療系エンジニアに役立つ資格

医療の現場には、情報の取扱いや業務フローに特有のルールがあるため、資格を取得しておくと技術や知識があると信頼されやすくなります。
ここでは、取得しておくと有利になる4つの資格を紹介します。
基本情報技術者試験
医療機関でエンジニアとして働くなら、ITの基礎をどこかで体系的に学んでおくと安心感を得られるでしょう。この試験では、ネットワークやセキュリティ、アルゴリズムなどの基本を幅広く身につけることができます。
現場でパソコンやシステムの不調に直面した際も、システムやネットワークがどう動いているかの仕組みを理解していれば、原因を予測しやすくなります。医療現場で使われるIT用語や構成への理解も深まり、実務で役立つ場面が多いでしょう。
医療情報技師能力検定試験
この試験は、医療機関のIT業務に関わるエンジニア向けに、医療制度や診療報酬など医療分野特有の知識を扱います。
システム導入時には、診療の流れを妨げない設計や患者情報の安全な取扱いが求められます。この資格があることで、システムの仕様や運用方法を業務に合わせて整えたり、要望に応じて設定や設計を調整したりする役割も増えるでしょう。
医療の現場では、ITと医療の両方に通じた人材が求められています。院内SEや医療システム開発に関わる方にとっては、現場との信頼関係を築くうえでも、優先的に取得を検討しておきたい資格です。
診療情報管理士

診療情報管理士は、診療録(カルテ)といった記録の整理・保管・分析などを担う専門職です。もともとは医療事務や記録業務に携わる方が多く取得してきた資格ですが、近年では医療情報システムに関わるエンジニアが基礎知識として学ぶケースも増えています。
この資格を持っていると、記録の構造や運用ルールに基づいたデータの管理や出力設計がしやすくなります。また、診療報酬への対応や統計作成、経営判断に必要な情報提供など広い視点でのシステム設計にも活かせる知識が得られるでしょう。
院内SEやシステム導入支援を担う立場で、データ活用に携わる予定がある方は、取得を前向きに検討してもよい資格です。
情報処理安全確保支援士
医療機関では、診療記録や検査データなどの個人情報を日常的に扱うため、セキュリティ対策が欠かせません。近年は外部からの攻撃だけでなく、院内の操作ミスや不正アクセスなど、内部起因のリスクにも注目が集まっています。
情報処理安全確保支援士は、情報セキュリティ分野で唯一の国家資格です。アクセス権の設計やログ監査の体制構築、サイバー攻撃への備えなど、現場でのリスク対応に直結する実践的な知識を習得できる点が特徴です。
特に医療機関で働く場合には、取得しておくことで強みになる資格といえるでしょう。
医療系エンジニアの年収や将来性

医療系エンジニアは、限られた人材しか活躍できない分野のように見えるかもしれません。しかし、病院のシステム化が本格的に加速している今、これまで他業界で経験を積んだエンジニアにも活躍の場が広がっている分野です。
実際には、院内SEや医療システム開発SEから、プロジェクトマネージャーやITコンサルタントへとステップアップする例も少なくありません。役割やスキルにもよりますが、年収は4,000,000〜6,000,000円台が目安で、特定の制度や現場に詳しい方はそれ以上の評価を受けるケースもあります。
この分野が注目されている理由の一つは、医療システムが法令や診療報酬制度と強く結びついている点です。社会情勢に左右されにくく、不況下でも安定性がある分野といえるでしょう。
また、医療のIT化はまだ発展途上にあり、今後も新しい導入や刷新が続くと予想されています。制度改定にあわせた設計や構築ができるエンジニアは、医療DX推進の中心的な存在として活躍するチャンスも見込まれます。
安定した環境で専門性を磨きたいと考えている方にとって、医療業界は将来性のある選択肢となるはずです。
医療系エンジニアのキャリアパス

医療分野でエンジニアとして働くと、経験に応じて上流工程への関与やマネジメント、コンサルティング業務などの選択肢が増えていきます。
この章では、院内SEと開発SEそれぞれのキャリアパスを紹介しましょう。
院内SEのキャリアパス
院内SEは、電子カルテの運用やネットワークの保守などの業務を通じて医療現場の仕組みに慣れていきます。経験を重ねると、システムの見直しや導入計画、外部ベンダーとの調整に関わるようになるでしょう。
将来的には、病院の情報システム室でのリーダー職や、医療DXの推進を担う道もあります。また、異業種の社内SEに転職する選択も可能です。
医療システム開発SEのキャリアパス
開発SEは、要件定義や設計・実装から始まり、現場対応を通じて医療データの構造や診療報酬などの専門知識を身につけていきます。こうした経験をもとに、プロジェクトマネージャーやITコンサルタント、開発ディレクターといった上位職を目指すことができます。
医療系エンジニアとしてのキャリアを築くうえで、成長できる環境かどうかは重要なポイントです。
私たちテクニケーションでは、案件選択制を導入しており、自分の志向や強みに合ったプロジェクトを選ぶことができます。また、経験の浅いエンジニアでもチームで参画しながら先輩のサポートを受けられる体制が整っています。
実務を通じて現場感覚を養いたい方や、医療分野に挑戦したい方にとっても、無理なくステップアップを目指せる環境です。
まずはテクニケーションのカジュアル面談で、あなたのこれからのキャリアについて気軽に話してみませんか。
エンジニアとしてキャリアチェンジを目指すなら

医療分野に関心はあっても、「本当に自分に合うのかわからない」と感じている方は多いかもしれません。異業種からの転職では、どこから準備を始めればよいのかわからず、迷いや不安を抱きやすいものです。
まずは、自分のスキルや経験が、医療系のどの領域とつながりやすいかを整理することから始めてみましょう。開発経験がある方はシステム設計やデータ管理、インフラ系に関わってきた方は院内ネットワークの整備など、親和性のある領域は意外と多くあります。
さらに、基本情報技術者や医療情報技師など医療とITの両方をカバーする資格にふれておくと、求人情報や現場の用語にもなじみやすくなります。資格を目標に据えることで、転職活動の方向性も明確になっていくでしょう。
一方で、新しい業界に挑戦してみたいという気持ちがあっても、一人で情報収集を進めるのは簡単ではありません。経験者の声や、業界に詳しい担当者と話しながら整理できる場があると、次に取るべき行動も見えてくるはずです。
私たちテクニケーションでは、キャリアチェンジを目指すエンジニアの挑戦をサポートしています。どの案件に参加するかを自分で選べる案件選択制を導入しており、初めての領域にも段階的に取り組める仕組みが整っています。
資格取得に向けた支援や、案件単価に応じて収入アップを目指せる報酬制度もあり、自分の努力が目に見えて反映されるのも特徴の一つです。私たちテクニケーションは、エンジニアへの報酬還元率が高い高還元SES企業としても注目されています。
業務に慣れるまでは、先輩エンジニアがサポートを行うため、不安なくステップアップを目指せます。
まずは、ご自身の経験や興味を話してみるところから始めてみませんか。ぜひお気軽にテクニケーションのカジュアル面談でご相談ください。