組み込みエンジニアの将来性は?需要や必要なスキル、資格についても紹介

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IoTデバイスやスマート家電、自動運転車など、私たちの身の回りには組み込みシステムが溢れています。その裏側で活躍するのが組み込みエンジニアです。

テクノロジーの進化とともに需要が高まっているこの職種は、キャリアの選択肢として魅力的な道筋を描けるのでしょうか?

本記事では、組み込みエンジニアの現状と将来性、必要とされるスキルや取得すべき資格まで詳しく解説します。

SES企業に所属するエンジニアやフリーランスとして活躍したい方にとって、市場価値を高めるための具体的な方法や、組み込み分野でのキャリアの可能性を示していきます。

組み込みエンジニアの役割と年収

握手をするビジネスマン


組み込みエンジニアという職種を考える際、まず気になるのはどのような仕事をするのか、そしてどれくらいの収入が期待できるのかではないでしょうか。

業務内容と収入の両面から見ることで、この職種の魅力と市場価値が見えてきます。

組み込みエンジニアの役割

組み込みエンジニアは、家電製品や自動車、医療機器などに搭載される組み込みシステムの設計と開発を担当します。

これらのシステムは製品のなかに埋め込まれ、特定の機能を制御するためのコンピュータシステムです。

具体的な仕事内容としては以下のようなものが挙げられます。

  • システム要件の分析と仕様の策定
  • ハードウェアとソフトウェアの設計
  • プログラミング(C言語・Java・Python・Rubyなど)
  • テストと品質保証
  • 実装とメンテナンス


組み込みエンジニアの特徴は、ハードウェアとソフトウェアの両方の知識が求められることです。

一般的なアプリケーション開発と異なり、限られたリソース(メモリやプロセッサ性能など)のなかで効率的にプログラムを動かす必要があるため、高度な技術も必要とされます。

組み込みエンジニアの年収

組み込みエンジニアの年収は経験やスキルレベルによって大きく変わります。一般的な相場は以下のとおりです。

  • 3年未満:4,000,000円~5,000,000円(税込)以上
  • 3年〜5年:5,000,000円〜6,000,000円(税込)
  • 5年〜10年:6,000,000円〜8,000,000円(税込)
  • 10年以上:8,000,000円〜10,000,000円(税込)以上


特に注目すべきは、特定の業界や技術に特化したスキルを持つ組み込みエンジニアの年収です。

例えば自動車業界での組み込み開発経験者や、AIやIoTに関する知識を持つエンジニアは、より高い年収を期待できます。

SES企業に所属する場合、案件の単価が直接年収に影響するため、専門性を高めることで年収アップが見込めます。

フリーランスの場合は、さらに高い報酬を得られる可能性がありますが、案件獲得の安定性やスキルアップの機会確保などが課題です。

組み込みエンジニアが活躍する主な業界

首都高速江戸橋JCT


組み込みエンジニアの活躍の場は多岐にわたります。特に技術革新が進む産業では、組み込みシステムの重要性が増しており、専門知識を持つエンジニアの需要は高いです。

ここでは、特に組み込みエンジニアの需要が高く、キャリア形成の観点からも魅力的な3つの業界を紹介します。

自動車業界

自動車業界は組み込みエンジニアの需要が高い業界の一つです。現代の自動車には100個以上のECU(電子制御ユニット)が搭載されており、エンジン制御やブレーキシステム、ナビゲーションなどさまざまな機能を制御しています。

特に注目すべきはADAS(先進運転支援システム)や自動運転技術の急速な発展です。これらの技術は、センサーからの情報を処理してリアルタイムで車両を制御する必要があるため、高度な組み込みシステムの知識が求められます。

トヨタやホンダなどの大手自動車メーカーや、デンソーなどの部品メーカーでは、常に組み込みエンジニアを求めています。自動車業界での経験は、専門性が高く評価され、キャリアの選択肢を大きく広げることが可能です。

家電業界

エアコンとリモコン


スマート家電の普及により家電業界でも組み込みエンジニアの需要が高まっています。

エアコンや冷蔵庫などの従来の家電製品も、IoT技術の導入によりネットワークに接続され、遠隔操作や自動制御が可能になっています。

特に、エネルギー効率の改良や使用者の行動パターンを学習する機能の実装には、高度な組み込みソフトウェアの開発が必要です。

家電業界での経験は、IoTやAIといった新しい技術に触れる機会が多く、市場価値の高いスキルを身に付けることができます。

医療業界

医療機器の高度化に伴い、医療業界でも組み込みエンジニアの需要が増しています。MRI・CTスキャナー・人工呼吸器・インスリンポンプなどの医療機器には、精密な制御と高い信頼性が求められます。

医療機器の開発では、安全性と信頼性が優先されるため、厳格な品質基準を満たすソフトウェア開発が必要です。

また、医療機器プログラミングに関する規制(IEC 62304など)の知識も必要とされます。医療業界での経験は専門性が高く評価され、安定したキャリア構築が可能です。

組み込みエンジニアの需要と現状

ビジネスマンとグラフ


組み込みエンジニアの市場はどうなっているのでしょうか。転職やキャリアチェンジを考える際、現在の需要状況を把握することはとても重要です。

ここでは、組み込みエンジニアを取り巻く環境や、市場での位置づけについて詳しく見ていきましょう。

AIやIoTの需要が高まっている

近年、AIやIoT技術の発展により、組み込みエンジニアの需要は急速に高まっているのです。特にエッジAI(クラウドではなく、デバイス自体でAI処理を行う技術)の進化は、組み込みエンジニアの重要性をさらに高めています。

市場調査によると、グローバルでのIoTデバイスの数は2025年までに750億台を超えると予測されています。これらのデバイスはすべて組み込みシステムを必要とし、その開発・保守には多くの組み込みエンジニアが必要です。

日本国内でも、DXの推進や第4次産業革命の進展により、あらゆる産業で組み込みシステムの需要が高まっています。特に製造業や自動車業界では、組み込みエンジニアの雇用に積極的です。

専門的な知識やスキルが要求される

眼鏡と本


組み込みエンジニアには、特有の専門知識やスキルが求められます。一般的なWebやアプリ開発とは異なり、ハードウェアの理解やリアルタイム性の確保など独自の技術的課題に対応する能力が必要です。

特に、リアルタイムOSの知識や低レベルプログラミングの経験は、組み込みエンジニアとして高く評価されるスキルです。

これらの専門知識を持つエンジニアは市場での競争力が高く、単価の高い案件を獲得しやすくなります。

SES企業に所属するエンジニアにとって、これらの専門スキルを身に付けることは、キャリアアップと年収アップの両方につながる重要な投資となります。

若手エンジニアが多くない

組み込み開発の分野では、若手エンジニアの参入が少なく、経験豊富な中堅〜ベテランエンジニアがいる傾向があります。

これは、組み込み開発が地味な印象を持たれることや、Webやアプリ開発に比べて情報が少ないことが原因です。

この状況は参入を考えるエンジニアにとってチャンスといえます。若手の不足は将来的に需要と単価を高める可能性があります。

SES企業に所属するエンジニアがこの分野のスキルを身に付ければ、需要の高い市場でのポジションを確立できるでしょう。

組み込みエンジニアの将来性

飛び跳ねて喜ぶビジネスマン


組み込みエンジニアの将来性は明るいといえるでしょう。現在進行中のIoT革命やAIの実用化、自動運転技術の発展など、あらゆる先端技術の開発において組み込みエンジニアの役割は不可欠です。

特に注目すべきは、エッジコンピューティングの急速な発展です。クラウドではなくデバイス自体で処理を行うこの技術は、リアルタイム性や省電力性、セキュリティの観点から重要性が高まっています。

また、5G通信の普及により新たなIoTデバイスやサービスが生まれ、ロボット工学の発展も組み込みエンジニアの活躍の場を広げています。

こうした技術トレンドを考慮すると、組み込みエンジニアはこれからも需要が見込まれる職種であり、専門性を高めることで長期的なキャリア構築が可能です。

組み込みエンジニアに必要とされるスキル

書類を読む男性


組み込みエンジニアとして活躍するためには、どのようなスキルを身につければよいのでしょうか。

ほかのIT職種と比べて特徴的なのは、ソフトウェアとハードウェアの両方の知識が求められる点です。

ここでは、組み込みエンジニアとして必須のスキルセットを3つの領域に分けて解説します。

プログラミング言語やOSの知識

組み込みエンジニアに求められるスキルは、C言語やJavaなどのプログラミング能力です。

特にメモリ管理やポインタ操作などの低レベルな処理に精通していることが重要になります。近年では、一部の組み込みシステムでPythonやRustなども使われるようになっていますが、依然としてC言語が主流です。

また、リアルタイムOS(RTOS)の知識も必須です。μITRON・FreeRTOS・VxWorksなどのRTOSの仕組みや使い方を理解していることで、リアルタイム性が求められるシステムの開発が可能になります。

Linuxを使った組み込みシステムも増えているため、組み込みLinuxの知識も市場価値の高いスキルです。カーネルの設定やデバイスドライバの開発、ブートローダの理解などが求められます。

設計と開発プロセス

作業中のエンジニア


組み込みシステムの設計には、特有の方法論や開発プロセスがあります。モデルベース開発やV字モデルなどの開発手法を理解し、実践できることが重要です。

また、安全性が重視される分野(自動車や医療機器など)では、機能の知識も求められます。

ISO 26262(自動車)やIEC 62304(医療機器)などの規格に準拠した開発プロセスを理解していることが、高い評価につながります。

さらに、バージョン管理システム(GitやSubversionなど)や継続的インテグレーションの経験も、チーム開発では必須のスキルです。

ハードウェア系の知識

組み込みエンジニアの強みは、ソフトウェアだけでなくハードウェアの知識も持っていることです。以下の知識があると、市場価値が高まります。

  • マイクロコントローラの仕組みと種類(ARM・AVR・PICなど)
  • デジタル回路とアナログ回路の基礎
  • 通信プロトコル(UART・SPI・I2C・CANなど)
  • センサーとアクチュエータの扱い方
  • 電子回路図の読み方


特に、IoTデバイス開発ではハードウェアとソフトウェアの両方の知識が必要とされるため、両方のスキルを持つエンジニアは重宝されます。

これらの幅広い知識を一度に習得するのは難しいかもしれませんが、実務経験を積みながら段階的に学んでいくことが大切です。

テクニケーションでは、実務経験を積みながらキャリアアップできる体制が整っている高還元SES企業です。高還元SESとは、エンジニアの単価に対する還元率が高いSES企業を指します。

チーム制を採用しており、経験豊富なメンバーによる直接的なサポートによりプロジェクトを通じて実践的なスキルを習得することが可能です。また、一人では難しい案件にも挑戦しやすいため、業務を行いながら諦めることなくスキルアップすることができます。

案件も自身で自由に選択ができる案件選択制を採用し、得意分野やスキルアップしたい分野を伸ばすことができるため、やりがいを持って業務を行うことにより成長や満足感を得ることにつながります。

今後のキャリアについて悩んでいる方は、ぜひカジュアル面談でご自身のキャリアプランについてお聞かせください。

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組み込みエンジニアにおすすめの資格と費用

ビジネスのイメージ


スキルを証明するための資格取得も、組み込みエンジニアのキャリア形成において重要な要素です。

特にキャリアチェンジを考えている方や、自分の市場価値を高めたい方にとって、資格は客観的な指標となります。

ここでは、組み込みエンジニアにおすすめの資格と、取得にかかる費用や時間について解説します。

C言語プログラミング能力検定試験2級

C言語プログラミング能力検定試験は、C言語のプログラミングスキルを客観的に証明できる資格です。

特に2級は、ポインタや構造体など、組み込み開発で必要とされる中級レベルの知識が問われます。

  • 受験料:7,700円(税込)
  • 試験時間:90分
  • 出題形式:マークシート方式
  • クリア基準:70%以上の正答率


この資格は、組み込み開発への転向を考えているエンジニアにとって、基礎スキルの証明になります。学習期間の目安は3〜6ヶ月程度で、独学でも十分に取得可能です。

ETEC

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ETEC(Embedded Technology Engineer Certification)は、組み込みシステム開発者向けの実践的なスキル評価試験です。

クラスC(初級)・クラスB(中級)・クラスA(上級)の3段階があり、実務経験に応じて受験するクラスを選べます。

  • 受験料:クラスCは5,500円(税込)
  • 試験形式:CBT(Computer Based Testing)
  • 出題内容:組み込みシステムの設計・実装・テストなど


ETECはJASA(組込みシステム技術協会)が実施している試験で、業界での認知度が高いのが特徴です。特にクラスB以上を取得していると、組み込み開発の専門性をアピールできます。

LPICまたはLinuC

組み込みLinuxを扱う場合は、LPIC(Linux Professional Institute Certification)またはLinuC(Linux技術者認定試験)が有効です。

特にLPIC-1またはLinuCレベル1は、Linuxの基本操作やコマンド、システム管理の基礎知識を証明できます。

  • 受験料:LPIC-1は15,000円(税込)
  • 試験時間:90分
  • 取得方法:2つの試験(101と102)にクリアする必要あり


組み込みLinuxの案件は単価が高いため、この資格の取得はキャリアアップに直結します。学習期間の目安は6ヶ月程度で、実務経験があれば短期間での取得も可能です。

テクニケーションでは、JavaGoldやLPIC-3など会社が推奨とする資格の受験費用や参考書代支給を行う資格取得支援制度を設けています。エンジニアがよりよい環境で自身の市場価値を高められるよう、スキルアップを目指すエンジニアに対し全力でサポートします。

さらに、案件選択制を採用し、エンジニア一人ひとりのキャリアやスキルに応じて自由に案件を選択することが可能です。得意とする分野をより深めたりキャリアアップを目指すための分野へ挑戦したりと、やりがいを持って仕事を行える環境になっています。

テクニケーションでは報酬面にも力を入れており、スキルや経験を正当に評価する単価給与連動制を導入し、一人ひとりの実力に応じた報酬を得られます。そのため、実力のある方ほど納得のできる報酬を得ることが可能です。

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スキルを身に付け将来性のある組み込みエンジニアを目指すなら

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組み込みエンジニアは、AIやIoTの普及により今後も需要が高まる職種です。専門的なスキルや知識を身につけることで、市場での競争力を高め、キャリアの選択肢を広げられます。

C言語やJavaなどのプログラミング言語、リアルタイムOSやLinuxの知識、ハードウェアに関する基礎知識の獲得が重要です。これに加えて資格取得も、スキルの証明として有効でしょう。

SES企業に所属するエンジニアの方は、案件選択が将来のキャリアを左右します。組み込み開発の経験を積める案件を選び、特定の業界や技術に特化したスキルを身につけることが大切です。

テクニケーションでは案件選択制を導入し、エンジニア一人ひとりのキャリアビジョンを尊重しています。またチーム制を設け、経験豊富なエンジニアから技術を学ぶ機会も提供しています。

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