AWS VPCを徹底解説!インフラエンジニアが知っておくべきネットワーク構成

アイキャッチ画像

【導入】

クラウド移行が加速する今、インフラエンジニアにとって「ネットワーク構成の理解」はますます重要になっています。

その中でもAWS(Amazon Web Service)におけるネットワークの中核を担うのが

VPC(Virtual Private Cloud)です

オンプレミス環境でのVLANやファイアウォールに慣れている方でも、VPCの概念や構成要素、設計方針には最初とどまることが少なくありません。私自身、実務でVPC設計やトラブル対応を経験する中で、

「クラウドにおけるネットワークの基礎と柔軟性」の大切さを実感してきました。

この記事では、インフラエンジニアが最低限知っておくべきVPCの構成から、実践的な設計のポイント、よくある失敗例までをわかりやすく解説します。

【本文】

❶.VPCとは何か?その役割と意義
VPCとは、AWS上に構築できる仮想ネットワークのことです。

ユーザーはこのVPCを通じて、自分専用のネットワーク空間を構成し、サブネットやルートテーブル、インターネットゲートウェイなどの要素を自由に設計・管理できます。

オンプレミスで例えるなら、VPCがネットワーク全体(L3スイッチのような存在)、サブネットがVLAN、セキュリティグループがポート制御付きファイやウォールのようなものと考えると、理解しやすくなります。

❷.VPCの構成要素と基本設計

VPCの構成要素は以下の通りです:

⭐VPC:IPアドレス範囲(CIDR)を持つ仮想ネットワーク空間

⭐サブネット:VPC内のネットワークセグメント。Public/Privateに分けて設計

⭐インターネットゲートウェイ(IGW):サブネットから外部インターネットへの出入口
⭐ルートテーブル:トラフィックの行き先を制御するルール
⭐NATゲートウェイ:Privateサブネットのインスタンスがインターネットアクセスするための中継地点
⭐セキュリティグループ/ネットワークACL:インスタンス単位・サブネット単位での通信制御

基本設計において重要なのは、パブリックとプライベートの役割分担です。

Webサーバーなどインターネットに公開するものはパブリックサブネットへ、
データベースやアプリケーションサーバーはプライベートサブネットに配置するのが一般的です。

😊設計の一例(3層構成):
・パブリックサブネット:ALB(Application Load Balancer)

・プライベートサブネット(アプリケーション層):EC2やECSコンテナ
・プライベートサブネット(DB層):RDSやElastiCache

❸.実務で使えるVPC設計のポイント

実際の現場では、以下の観点が非常に重要です。:

‼️CIDR設計は余裕を持たせて
 ➡小規模でも/16や/20を割り当て、将来的なサブネット拡張を見据える

‼️AZ(アベイラビリティーゾーン)をまたいだ冗長構成
 ➡最低2つのAZにサブネットを分散させ、片系障害に備える
‼️ルートテーブルの分離運用
 ➡目的別にルートテーブルを用意することで、通信制御の可視性が上がる
‼️セキュリティグループは最小権限原則で

 ➡”許可しすぎ”を避け、インスタンス間通信も必要最小限に限定
‼️監視とロギングを有効に
 ➡VPC Flow Logsを活用して通信のトラブルや不審な動きを可視化


❹.よくある失敗例と対策

VPC関連で私が実際に経験した、あるいは現場でよく見かける失敗には以下のようなものがあります。

⚠️CIRDが重複してVPN接続できない

 ➡オンプレとクラウドで同一IP帯を使っていいたため、事前のIP設計が重要
⚠️NATゲートウェイの料金が想像以上に高額に

 ➡輸送量やAZごとのNAT数に注意し、必要に応じてNATインスタンスも検討
⚠️セキュリティグループで全通信を許可していた
 ➡初期構築時の簡易設定がそのまま本番適用され、セキュリティリスクに

⚠️IGW(インターネットゲートウェイ)をつけたのに通信できない
 ➡サブネットのルートテーブルにIGW宛てのルートを追加し忘れ

これらの問題は、構成図やドキュメントの整備、手順書ベースでの作業チェックを取り入れることで防止できます。

【まとめ】

AWS上のネットワーク設計において、VPCの理解はまさに基礎中の基礎です。

しかし、その奥には、インフラエンジニアの「設計力」や「保守性・運用性への配慮」が問われる場面が多くあります。

‼️構成の意図を持ち、将来の変更に備えた設計を行う

‼️セキュリティ・コスト・冗長性のバランスをとる

‼️トラブル時に原因を特定しやすい構成にする

これらを意識することで、単なる「動くネットワーク」ではなく、安定して運用する堅牢なクラウド基盤が実現できます。

これからAWSを本格的に扱う方、あるいは既存構成の改善を検討中の方にとって、

この記事が「VPCを深く理解するためのきっかけ」となれば幸いです。