開発と営業の二刀流!エンジニアが「技術営業」を経験して得たヒアリング術

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はじめに

「仕様が曖昧で手戻りが多い」
「顧客の要望を正しく理解できている気がしない」

エンジニアとして働いていると、一度はこんな悩みを感じたことがあるのではないでしょうか。

私はこれまで、FA(ファクトリーオートメーション)分野でエンジニアとして検査装置の開発・調整を行いながら、営業として顧客対応も経験してきました。

いわゆる「技術営業」という立場です。

その中で気づいたのは、
開発スキル以上に“ヒアリング力”がプロジェクトの成否を分けるということでした。

本記事では、実体験をもとに「エンジニアが身につけるべきヒアリング術」を紹介します。

なぜエンジニアにヒアリング力が必要なのか

エンジニアは「作ること」が仕事と思われがちですが、実際は違います。

本質は

”相手の課題を正しく理解し、それを形にすること”

しかし現場では

  • 顧客の要望が曖昧
  • 言葉の定義がずれている
  • 本当に必要な機能が言語化されていない

などといった問題が頻発します。

この状況で開発を進めると

完成後、「思ってたものと違う」が発生します。

ヒアリングで一番難しいのは「聞くこと」ではない

ヒアリングというと「質問力」が重要だと思われがちですが、実際に難しいのはそこではありません。

本当に難しいのは、

  • 相手が言語化できていない課題を引き出すこと
  • 表面的な要望に引っ張られないこと

です。

現場では「とりあえずこうしてほしい」という依頼が多くあります。しかし、それをそのまま受け取って実装してしまうと、本質的な課題は解決されません。

技術営業の現場では、こうしたケースを何度も経験しました。

技術営業で学んだ「ズレないヒアリング」3つのポイント

「何をしたいか」ではなく「なぜしたいか」を聞く

顧客は「〇〇したい」と要望を出してきますが、それは手段であることが多いです。

例えば

  • 「この検査を自動化したい」

    → なぜ? → 人手不足?品質安定?コスト削減?

目的を深掘ることで、本質的な解決策が見える

専門用語を使わずに“認識合わせ”する

エンジニア同士なら通じる言葉でも、顧客には伝わらないことが多いです。

技術営業時代は意識的に

  • 図で説明する
  • 例え話を使う
  • 相手に説明してもらう

ことを徹底していました。

「伝えた」ではなく「伝わったか」を確認する

一度で理解しようとしない

ヒアリングは“1回で終わるもの”ではありません。

  • 仮説を立てる
  • 確認する
  • 修正する

この繰り返しです。

会話はキャッチボール、仕様は一緒に作るもの

改めてエンジニアに戻って気づいたこと

営業を経験したあとに開発へ戻ると、明確に変わったことがあります。

それは

「仕様の見え方が変わったこと」

です。

以前は、提示された仕様をそのまま受け取り、「どう実装するか」に意識が向いていました。

しかし技術営業を経験したことで、「この仕様は本当に成立しているか?」という視点を持つようになりました。

例えば、要件定義の段階でよくある

  • 「ユーザーが使いやすいようにする」
  • 「できるだけ早く処理する」
  • 「柔軟に対応できるようにする」

といった表現です。

一見すると問題ないように見えますが、これらはすべて曖昧な表現です。

営業を経験する前は、こうした要望をそのまま受け取り、実装段階で悩むことが多くありました。
しかし現在は、

  • 「使いやすい」とは具体的にどの操作を指すのか
  • 「早い」とは何秒以内を想定しているのか
  • 「柔軟」とはどの範囲まで変更可能である必要があるのか

といったように、曖昧な言葉を具体的な条件に分解することを意識しています。

また、不足している情報にも早い段階で気づけるようになりました。

例えば、

  • エラー時の挙動はどうするのか
  • 想定外の入力が来た場合の処理はどうするのか
  • 他機能との依存関係はあるのか

といった、「書かれていないが実装には必須となる情報」です。

これらは実装フェーズに入ってから気づくと、設計のやり直しや大きな手戻りにつながります。
そのため、開発に入る前の段階で積極的に確認するようになりました。

さらに大きな変化として、

「リスクを事前に想定する力」

が身につきました。

営業の現場では、「このまま進めると後で問題になるのではないか」という視点で常に考える必要があります。

この経験により、開発においても

  • この仕様は後から変更が入りやすいのではないか
  • この実装だと別機能に影響が出るのではないか
  • パフォーマンスや運用で問題が出ないか

といったリスクを、実装前に洗い出すことができるようになりました。

こうした意識の変化により、

  • 実装後の仕様変更が減る
  • 手戻りが減る
  • コミュニケーションコストが下がる

といった効果が生まれました。

結果として、開発スピードそのものも向上しています。

まとめ

ヒアリング力は営業だけのスキルではありません。

むしろエンジニアこそ身につけるべきスキルです。

  • 「なぜ」を聞く
  • 認識を合わせる
  • 何度も確認する

この3つを意識するだけで、開発の質は大きく変わります。