業務効率化の切り札!現場の困りごとを解決する「運用ツール開発術」

現場で日々発生する細かな業務の負担 -その多くは、実はちょっとした工夫やツール開発によって劇的に軽減できるものです。私は最近まで参画していた案件において、業務効率化を目的とした運用ツールの開発に携わってきました。今回は、そこで得た経験や工夫、失敗からの学びを交えながら、現場の課題を解決するための「運用ツール開発術」についてご紹介したいと思います。
目次
設計から実装まで、1人で担った開発経験
プロジェクト当初は、しっかりとした設計図をもとにツールの開発を進めていました。しかし、プロジェクトが進行するにつれて、業務上の優先度が比較的低いツールに関しては、口頭や簡単な文書ベースで要件が決まるようになり、正式な設計図が用意されないことも多くなっていきました。
そのため、自分自身で要件を整理し、必要な機能を洗い出して簡易的な設計書を作成するというプロセスを自然と身につけることができました。これは、後の工程をスムーズに進める上でも非常に役立ち、設計から実装、テスト、そしてレビューまで、ほぼすべてを1人で完結させるという貴重な経験につながりました。
開発した主なツール例
以下のようなさまざまな運用ツールを開発してきました。
- Linuxサーバ上のログを取得・解析し、結果をExcelに出力するツール
awkやgrepで必要情報を抽出。出力結果をCSV形式に整形し、Excelマクロで見やすいように表を作成。
→複雑なログを人手で確認する手間を省き、作業の正確性とスピードを向上。
- Excelの関数で行っていた処理をVBAで自動化
業務で使っていた関数ベースの作業をVBAで一括処理できるようにしました。複数シートの集計や条件分岐など、手作業では時間がかかる処理を自動化。
→手作業の関数処理をVBAに置き換えることで、処理時間を大幅に短縮。
- SQLを含むシェルスクリプトの開発(INSERT文の出力・登録など)
データベースへの定型的なデータ登録作業を自動化するスクリプトを開発。CSVファイルを読み込み、必要なSQL文を動的に生成して投入。
→データの自動投入を行うことで、定型的な作業のミスを削減。
- CSV形式のアップデートデータをデータベースに登録するツール
外部データとの連携を自動化し、手間とヒューマンエラーを回避。
- サーバ上の不要データを削除するツール
期間を指定してログを削除するシェルを作成
→データクレンジング作業を効率的に実施。
それぞれのツールは、現場の「ちょっとした困りごと」を解消することに焦点を当てており、開発のたびに業務改善の手応えを感じることができました。
工期短縮の秘訣は「ノウハウの流用」
短期間で多くのツールを開発できた背景には、「既存ツールのノウハウやコードの再利用」が大きく貢献しています。処理の流れや共通するロジックは可能な限り再利用することで、開発時間の短縮だけでなく、コードの品質保持やメンテナンス性の向上にもつながりました。
もちろん、新しい技術の習得という観点では課題もありますが、運用現場の即戦力としては非常に効果的なアプローチだったと実感しています。
印象に残る失敗と学び:データ削除ツールの事故
開発経験の中でも特に印象に残っているのが、サーバ上のデータ削除ツールに関するエピソードです。試作段階では別機能で動作確認を行っていたため、実際の削除処理のテストでは細心の注意が必要でした。
しかしながら、削除対象の選択方法において「全選択」が容易にできてしまう設計になっていたため、意図せずすべてのデータを削除してしまうという事故が発生してしまいました。幸いにもバックアップデータから復旧できましたが、非常に冷や汗をかいた経験でした。
この経験から、「操作ミスが致命的な結果につながる機能」には、明確な確認プロセスや操作制限を組み込む重要性を痛感しました。技術だけでなく、「ヒューマンエラーを前提にした設計」が、現場においてどれだけ重要かを学んだ出来事でもあります。
おわりに:ツール開発が現場にもたらす価値
業務効率化ツールの開発は、現場の声に真摯に耳を傾けることから始まります。小さな不便や手間に目を向け、それを解決することで、全体の生産性を大きく向上させることが可能です。
今後もこうした現場の課題解決に寄与する開発に携わりながら、自分自身の技術力と現場力をさらに高めていきたいと考えています。