月間30件のセキュリティ相談を管理するPMOが実践する「推進力」のポイント
「セキュリティに関する相談が次々と来て、常に30件以上の対応が並行稼働している」
「相談元から『早く回答して』と急かされ、専門の担当者からは『情報が足りない』と差し戻される」
「開発チームからセキュリティのリスク評価が終わらず開発スケジュールが遅れそうだとクレームが来た」
昨今、企業のセキュリティ意識は劇的に高まっています。システムの開発や改修はもちろん、SaaSなどの外部サービス導入にあたっても、厳格なセキュリティ評価を義務付ける企業が増えているのが現状です
その一方で、現在は非エンジニアでも手軽にサービスを導入できる時代です。セキュリティ意識は高まっても、「具体的に何に気をつけるべきか、何を確認すべきか」がわからない担当者も多く存在します。
その結果、セキュリティ部門には、詳細な評価依頼から「まず何をすればいい?」という初歩的な相談まで、膨大な連絡が届きます。
このような現場で、プロジェクトを止めず、混乱や遅延なく対応を完遂させるためには、単なるスケジュールや進捗管理に留まらない「推進能力」が不可欠です。
今回は、私が現場で、月間30件以上の案件をさばくために意識した、業務を「詰まらせない」ための3つのコツを詳しくお伝えします。
目次
①対応フローを徹底的に整備して「属人化」を排除する
複数の案件を管理する状況で、特定のベテランしかできない業務や、特定の担当者だけが状況を把握している「属人化」の状態は、プロジェクトを止める非常に大きなリスクです。
そのため、私は日頃から以下の3つのポイントを意識し、円滑に対応を進めることが出来る仕組み作りを徹底しました。
- 「経験則」を言語化する
既存担当者が「経験上、当然」として行っている操作や確認観点をヒアリングし、すべて手順書に落とし込み、ナレッジをチーム全員が共有できるようにしました - 初めてでも動ける状態を作る
新しく参画したメンバーでも迷わず対応できる状態を整えることで、チーム全体の対応品質を底上げし、ミス発生時のリカバリーコストを最小限に抑えました - こまめな記録
自身の対応についても他メンバーはもちろん、自分自身でも適時見直せるようこまめにメモを残し、情報の透明性と再現性を確保しました
②受け手の次の行動を促すフォロー
セキュリティ部門へ相談する方は、必ずしもエンジニアだけではありません。
IT知見が浅いビジネス部門の担当者や、多忙を極める開発担当者に対し、専門用語を並べただけの回答や修正依頼を連携した場合、相手の混乱を招き、不要なハレーションを引き起こしてしまう可能性があります。
また、エンジニア同士であっても、立場が違えば重視するポイントは異なります。
そこで月30件以上の案件をスムーズに推進するため、私は以下のポイントを徹底しました。
- 「判断しやすい形」で受け手へ問いかける
相手が次の行動に移せるよう、判断に必要な情報をこちらで先に整理し、「Yes/No」で答えられる、あるいは具体的なアクションがイメージできる形に整えてから連携しました - 必要に応じて専門用語を噛み砕いて案内する:相手がリスクの内容を正しく理解できないと、適切な行動が取れず、結果としてセキュリティ事故につながる恐れもあります
その場合はPMOが適時補足や説明を加えて、なぜこの対応が必要なのかという背景やリスクの重みを説明することで、担当者が納得感を持って、かつ正確に動けるようサポートしました
③技術的な視点だけではなく包括的に確認が漏れていないか意識する
システム開発において、守るべきは技術的なセキュリティだけではありません。
どれだけ強固な脆弱性対策を施していても、法律や企業ガバナンスの観点に不備があれば、リリース直前でプロジェクトには大きな手戻りが発生します。
そのため、私は自チームの本来の役割を超えた「先回り」の確認を徹底しました。
- スコープ外の「確認状況」にもあえて踏み込む
私が所属していた事務局の主な確認スコープは「技術的なセキュリティ」でしたが、実務ではあえて法務やガバナンス観点の進捗状況にも踏み込みました
具体的には、プロジェクト側に対して「法務チェックは実施済みか」「不明点がある場合の相談先は明確になっているか」を確認しプロジェクト側の検討が充足してるかの確認を行いました。 - 万が一の「検討漏れ」に先回りし、自ら場をセッティングする
もし検討がなされていないことが判明した場合には、単に指摘するだけでなく、速やかに関係部門への連絡を促しました
さらに、必要に応じて関係部署への正確な情報提供を仲介し、スムーズな合意形成のためのMTG(会議)の場を自ら設定するなど、プロジェクトが停滞しないよう行動しました
PMOの調整術は「高度な技術」である
月間30件以上の案件を混乱なく推進することは、単にスケジュールを確認して更新することではありません。
現場を支え、プロジェクトを事故なく完遂させるための「高度な技術」です。こうした「周囲と協力して仕事を進める力」を磨き、体現することは、エンジニアとしての市場価値に直結します。



















