初めての若手マネジメント。リードプランナーが実践した『歩み寄り』とチーム品質向上のための育成術
こんにちは。ゲーム業界でプランナーとして、企画・仕様策定・データ作成・進行管理などに携わってきました。
今回は、12名規模のソーシャルカードゲーム運営プロジェクトで、初めて若手プランナーの育成を任されたときの経験についてお話しします。
プレイヤーとして自分の仕事を進めることと、リーダーとして誰かの成果を支えることは、似ているようで大きく異なります。自分では当たり前だと思っていた判断基準が相手には伝わらず、指示した内容と提出された成果物にずれが生じることもありました。
当時の私は、「正しいやり方を説明すれば、相手も同じようにできる」と考えていました。しかし、実際の育成では、正しさを伝えるだけでは不十分でした。
必要だったのは、相手の経験や理解度に合わせて、伝え方や任せ方を変える「歩み寄り」でした。
この記事では、初めて若手を育成する立場になった方に向けて、私が現場で実践した方法と、そこから得た学びを紹介します。
目次
初めての若手マネジメントで直面したこと
私が担当したプロジェクトでは、イベント企画、仕様策定、マスターデータ作成、KPI分析、デバッグなどを行っていました。
リードプランナーになってからは、自分のタスクに加え、若手メンバーの進行フォローや成果物のレビューも担当しました。
最初に難しさを感じたのは、「分からないことが分からない状態」を見抜くことです。
経験者であれば、仕様書に書かれていない前提や、過去の運営施策との整合性を自然に確認します。一方、経験の浅いメンバーは、書かれた作業を終えることに集中し、その先で起こる影響まで想像するのが難しい場合があります。
そこで「なぜ確認しなかったのか」と指摘するだけでは、次に何を確認すべきかは伝わりません。
相手の能力だけを見るのではなく、こちらの説明や確認方法に不足がなかったかを振り返る必要がありました。
「歩み寄り」は要求水準を下げることではない
私が意識した「歩み寄り」とは、仕事の品質を妥協することではありません。
同じゴールに到達するために、説明の粒度や確認の頻度を調整することです。
タスクを依頼するときは、「このデータを作ってください」だけで終わらせず、次の点をセットで伝えるようにしました。
・作業の目的
・完了と判断する条件
・ミスが起こりやすい箇所
・判断に迷ったときの相談タイミング
背景まで共有すると、メンバーは単なる作業者ではなく、自分で判断するための材料を持てます。
また、質問を受けた際には、すぐに答えを教えるだけでなく、「どこまで確認したか」「自分ではどう考えたか」を聞きました。
ただし、自力で考えることを求めすぎると、相談が遅れて手戻りが大きくなります。考える時間と相談するタイミングを先に決めておくことも、リーダーの役割だと感じました。
成果物の品質を高めるレビュー方法
レビューでは、間違いを見つけることよりも、次回から本人が自分で気づける状態をつくることを重視しました。
まず、良かった点を具体的に伝えます。その上で、修正箇所について「何が違うのか」「なぜ問題になるのか」「次から何を確認すればよいか」を説明しました。
例えば、マスターデータの設定ミスであれば、値だけを直して終わりにはしません。
関連する報酬設計、画面上の表示内容、イベント期間、既存データとの整合性まで確認する理由を共有します。
指摘だけのレビューでは、その場の成果物は直せても、本人の判断基準は育ちません。
レビューの目的は、リーダーが毎回修正することではなく、メンバーが自分で品質を担保できる範囲を広げることです。
同じ指摘が繰り返される場合は、個人の注意力だけを原因にせず、チェックリストや作業フローに落とし込みました。
確認観点をチームで共有することで、若手の育成と同時に、チーム全体の品質基準もそろえられます。
任せる範囲を段階的に広げる
若手育成では、最初から大きな仕事を丸ごと任せることも、細かく指示し続けることも適切ではありません。
私は、最初は小さなタスクで進め方を確認し、途中レビューを挟みながら、徐々に任せる範囲を広げました。
作業に慣れてきたら、決められた手順を実行するだけでなく、スケジュールの立て方、エンジニアやデザイナーへの依頼、想定されるリスクの洗い出しまで考えてもらいます。
定期的な1on1ミーティングでは、進捗だけでなく、「どこで困っているか」「どの仕事に自信がないか」「今後どの領域を担当したいか」も確認しました。
本人の不安や目標を知ることで、任せる仕事の難易度やフォロー方法を調整しやすくなります。
次第に、指示を待つのではなく、事前に懸念点を共有したり、自分から改善案を出したりする場面が増えていきました。
若手の成長は、本人だけにメリットがあるものではありません。確認の往復や手戻りが減ることで、チーム全体の生産性向上にもつながります。
まとめ
初めて若手をマネジメントした経験から学んだのは、育成とは「自分のやり方を教えること」ではなく、「相手が自分で判断できる基準を渡すこと」だということです。
そのためには、相手の理解度に歩み寄りながら、目的、完了条件、注意点を明確に伝える必要があります。レビューでも、修正結果だけでなく、判断の理由まで共有することが重要です。
育成には時間がかかります。
しかし、忙しいからと後回しにすると、確認や修正が特定の人に集中し、結果的にチームの負担は増えてしまいます。
若手育成は、余裕があるときだけ行う付加業務ではなく、チーム品質を安定させるための重要な仕事です。
これから初めて後輩や若手を担当する方は、最初から完璧なリーダーを目指す必要はありません。
相手に求めるだけでなく、自分の伝え方も見直す。
その小さな歩み寄りが、メンバーの成長とチームの品質向上につながると考えています。



















