初めてのネットワーク案件、一人で現場に放り込まれたあなたへ

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ネットワークエンジニアとしてある程度勉強して、資格も取って、いよいよ案件にアサイン。しかも一人で。

……不安ですよね。めちゃくちゃわかります。前日夜はまともに眠れなかった上に案件先に着く前に満員電車で気力を削られたことを今でも思い出せます。

私はネットワーク案件のみで16年やってきて、設計・構築・運用・保守と一通り経験してきました。それなりに色んな現場を見てきたつもりです。

で、振り返ってみると技術よりもっと手前のところでつまずく人が多い。特に一人で入ってくる若い子はつまずいたまま立てない事もまま見てきました。

というわけで今回は、初めてネットワーク案件に一人で入る人に向けて「これだけはやっておいてほしい」ということを3つだけ書きます。先輩社員が一緒に入ったら言葉やニュアンスは違っていてもこの内容的なことを絶対に教えると思います。

1.挨拶をしっかりやる

いきなり何を当たり前のことを、と思いましたよね。そうです、当たり前のことです。

でもこれがどこの案件でも入場教育やキックオフの一端で登場します。
わざわざ偉い人が自ら挨拶はしっかりやるようにと教育で登場した案件もありました。

特にですがネットワークの現場って、ほぼチームプレーです。チーム内だけでなくチーム間のやりとりも頻繁にあります。後はさすがに昔より減ったことは事実ですが電話でのお客様とのサシでのやりとりも当然発生します。

そこに「新しく来た人」として入っていくわけです。

最初の印象ってけっこう残ります。朝来たら「おはようございます」、何か聞いたら「ありがとうございます」、帰るときは「お先に失礼します」。本当にそれだけでいい。

挨拶して怒られることはほぼありません。根拠が自分の経験だけで恐縮ですが16年の中で一回だけ癖の強い人に朝挨拶したら朝からうるさいと怒られました。その1件だけです。他は少なくともマイナスにはなっておらず、挨拶がちゃんとしていると名前を覚えてもらうきっかけになった事もあります。

挨拶もそこそこに黙々とやっていると、技術的には正しいことをやっていても「あの人、なんかとっつきにくいな」で終わることがあります。もったいないです。まして入ったばかりでは技術も示せません。
あいつ挨拶もできないのかと無駄に評価を下げることになりかねません。

自分の経験上、挨拶がちゃんとしている人は現場で困ったときに助けてもらえる確率が段違いに高いです。技術は後からいくらでも伸ばせますが、最初の印象のリカバリーは意外と大変です。

2. 話を聞くときは「聞いてますよ」の態度を見せる

現場に入ると、最初はとにかく説明を受ける場面が多いです。既存のネットワーク構成、運用ルール、過去のトラブル事例、エスカレーションのフロー。聞くのが最初の仕事です。

このとき、聞いている側の態度って、話している側からはかなり見えています。

具体的にやってほしいのはこのあたりです。

相手の話にうなずく。話をしている方に顔も体も向ける。わからないところがあったら「すみません、今のところもう少し詳しく聞いてもいいですか」と聞き返す。説明が終わったら「ありがとうございます、助かります」と伝える。

別に仕事に限らないし地味ですよね。でもこれをやるかやらないかで、相手が「この人にはちゃんと教えよう」と思うか「まあ最低限だけ伝えればいいか」と思うかが変わってきます。相手も人間です。どうせ教えたり説明したりするならやりやすい人に偏ります。ちゃんと仕事なんだから公平にやってよというのは正しいですが、現実は思った以上にシビアです。

ネットワークの現場って、ドキュメントに書かれていない暗黙知がけっこうあるんです。「このスイッチは設定上こうなってるけど、実は歴史的経緯で触っちゃダメ」みたいなやつ。そういう情報は、信頼できると思った相手にしか共有されません。

あと、聞き返すのを遠慮する人がたまにいますが、わからないことをわからないまま流す方がよっぽど危険です。ネットワークは一つの設定ミスで広範囲に影響が出る世界なので、「聞いて確認する」は立派な仕事です。恥ずかしいことではありません。

逆に怖いのは、わかったふりをしてそのまま作業に入ってしまうパターン。仕組みでそうならないよう各現場で工夫はしていますが、それでも本番作業でのケアレスミスは相変わらずなくなっていません。

3. 専門用語と「現場語」に早めに慣れよう

ネットワークの現場に入ると、技術的な専門用語はもちろんですが、それに加えて案件独自の言い回しが飛び交います。これがけっこう曲者です。

たとえばVLANやOSPFみたいな技術用語は勉強していれば知っているかもしれません。でも現場では初見では絶対意味も内容も把握できない言葉がでてきます。最初はほぼ外国語に聞こえると思います。それで普通です。あと本筋と少し離れますがこの現場語は議事録とる現場歴浅い人の明確な壁となります。私もいまだに苦労します。

この現場語はピンとこない人も多いと思うので私が体験した現場語を少し書いてみました。みなさんは字面だけで判断できますか。

・ツリー崩れ……検証中に見つかったルータのバグ。朝会で一時期毎日聞いていました。 

・ピンポン……ネットワークループのこと。いきなり言われて何のことかわかりませんでした。 

・S超え拠点……SLA違反リスクが高い遠方拠点の内部呼称。さらに省略されて「S超え何件?」とも。

対策としては、聞こえた言葉をとにかくメモしておくこと。そして少し落ち着いたタイミングで周りの人に「さっきの○○ってどういう意味ですか」と聞くこと。これだけです。逆に聞かないと絶対にわかりません。自分で考えるという事が通用しません。

あと当たり前ですが「会議中にわからない言葉が出てきても、その場で全部止めて聞く必要はない」ということ。会議の流れを止めすぎると周囲のストレスになることもあるので、メモだけしておいて後から個別に確認する方がスムーズにいくことが多いです。もちろん、その場で聞かないと話が進まないレベルの場合は遠慮なく聞いてください。

自分の経験だと、だいたい二か月もすれば現場の言葉にはかなり慣れます。最初の一か月は「何を言っているかわからない」で全然大丈夫。焦らなくていいです。

ちなみに、この「現場語」に早く慣れることには副次的なメリットもあって、その言葉を使えるようになると「この人、もうこの現場に馴染んできたな」と思ってもらえます。チームに溶け込むスピードが上がるんですよね。

最後に

ここまで読んで気づいた方もいるかもしれませんが、3つとも技術の話はほとんどしていません。

もちろん技術は大事です。でも、初めての現場で最初から技術で存在感を出せる人はそうそういません。それよりも、周囲と信頼関係を作って、情報をもらえる状態を早く作る方が、結果的に技術のキャッチアップも速くなります。

挨拶をする。話を聞く姿勢を見せる。現場の言葉に慣れる。

この3つができていれば、あとは技術を積み上げていくだけです。初めての一人現場は緊張すると思いますが、最初から完璧にやろうとしなくて大丈夫です。わからないことが多い方が普通なので、そこは安心してください。

とはいえ、ここに書いたことは先輩が隣にいれば自然と教わることばかりです。一人で入るかチームで入るかは、案件だけでなく会社の体制にもよります。もし今まさに会社選びの段階にいるなら、そこも判断材料の一つにしてみてください。