ネットワーク機器リプレースを成功させるには?計画~リプレースまで経験談

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1.ネットワーク機器リプレースの流れ

◆ネットワーク機器をリプレースするにあたって簡単な流れは下記の通りとなる。

・計画 まずどういった目的で行うのか、リプレースを行う対象機器の選定、大まかなスケジュール等をここではおおよそのことを決めていく。

・要件定義

リプレース対象機器が使用している機能、現在のスペックを確認する。リプレースのタイミングで追加したい機能がある場合は、ユーザーへヒアリングを行い、要件をすり合わせる。要件定義の際には、必要に応じて現地調査を行う。この現地調査は、物理的な状況を確認する目的で行う。現地調査では、ネットワークラック内および機器設置状況、ケーブルの余丁、電源の空き口数などを確認し、写真や図で情報を残す。この情報が、本番リプレース作業の手順、タイムスケジュールの作成時に役に立つ。このタイミングで、リプレース機器に必要な機能、スペックを洗い出し認識のズレが無いかまとめる。機器を確定させ、在庫状況の確認、確保をして納品時期をクライアントに報告する。

・設計、構築

古い機器から新しい機器へ、設定の引継ぎを行う。同じメーカーの機器であっても、バージョンが変わることで、設定方法やコマンドが変わることがある。要件や設計書を確認しながら進めることが重要である。

・テスト

一部の機器を入れ替え、これまでと同じように動くかどうかチェックする必要がある。テストは一度で済ませず、さまざまなケース・シーンを想定して試験を繰り返す。

・リプレース

要件定義で挙げた予め計画したリプレースのスケジュールと差異がないか、再度確認する。現地作業員とリプレース先の現地対応者情報の共有、リプレースの流れを事前に説明し、最終確認を行う。その後、リプレース作業を行う。

2.設計、構築

◆上記で挙げた内容を体験談を交えて具体的に述べていく。 構築を行うには、下記の流れでどの現場も行っていた。

・詳細設計

詳細設計では、要件定義で挙げられた要件を元にパラメータシート、構成図(物理的構成図、論理構成図)、作業手順書等を作成していく。リプレース作業はゼロから上記の資料を作成するのではなく、既存機器(パラメータシート、構成図(物理的構成図、論理構成図)、作業手順書)に関する資料があるのでそれらをひな形に作成していく。(例外で既存資料がない現場も稀にある。)

・Config作成

パラメータシートと既存機器のconfigを参考に要件を満たせるように、config作成を行う。極端にバージョンが古い場合はconfigの内容に差異が生じるので、要件から反れないよう注意して作成する。

・構築作業

事前に作成したconfigと作業手順書を参照し、対象機器にconfigを流し込んでいく。メーカーや機器の仕様によってはconfig投入の順番を誤ると投入後ログイン出来ない場合があるので、細心の注意を払って行う。

3.テスト

◆具体的な作業内容をここでは述べていく。

・単体テスト

設計書を元に作成したパラメータシートとキッティングした機器のconfigチェックをwinmerget等で行う。パラメータシート通りの設定が入っているか、余計な設定が実機に入ってないかを確認する。デフォルトで有効になっている設定など、デフォルト値で問題ないか調査したり、不要な機能であれば無効にするなどチューニングを行うケースもある。

・結合テスト

周辺機器と接続した状態で、各機能の正常性確認や、障害&復旧時の動作確認を行う。構築場所によって、倉庫などキッティング&試験できるスペースがある場合は、事前に試験を行うこともある。ただし、事前の試験はあくまでも疑似環境で行うので本番環境でも同様の試験は行う。

・機能テスト

システム全体を対象として、要件に基づいた機能がすべて正しく実装されているかを確認するテストである。主に、システムが設計時に設定された要件を満たしているかを確認し、機能や非機能面の両方から品質を評価する。実施時期としては、結合テスト後に行われ、システム全体の統合を検証するための重要なフェーズである。システムが実際の使用環境で期待通りに動作することを保証し、ユーザビリティ、信頼性、性能などのという観点からもシステムを評価する。システム全体を俯瞰することで、個々のコンポーネントだけでは見つけられない問題を検出する役割を担う。このテストがリプレース前の最終確認なので上手くいかなければ早急に修正し、万全の状態でリプレース作業に臨む。

4.リプレース

◆上記の工程を終えた後に、リプレース作業を行う。具体的な作業内容は、下記の通りとなる

リプレース作業日に現場作業員の入館、リプレース先の現地対応者と作業内容とタイムスケジュールの認識合わせを行う。リモート待機作業員は、作業開始連絡を客先に行う。リプレース作業完了後は対象機器のログインと通信確認、想定外の挙動が発生していないか確認する。問題なく全ての完了後、客先に業務影響が発生していないか確認依頼、特に問題が無ければ現地作業員に退館連絡を行う。再度、確認漏れが無いか最終確認を行い客先に作業終了連絡を行い作業完了となる。リプレースを行うにあたって一連の流れと具体的な作業内容を述べたが、問題なく完了するには客先と認識のずれがないかをマメに取ることが重要である。作業スケジュールは問題が発生しても全体スケジュールに影響が出ないように、ゆとりを持って計画することがリプレース成功に繋がる。