「設計書が分からない…」ネットワーク構築の要、パラメータシートの読み方・書き方

1.パラメータシートとは? ◆パラメータシートとは、システムやアプリケーションの設定値や変数を一元的に管理するための文書やファイルを指す。インフラ視点で表現を変えると、ネットワーク機器の設定値を細部まで記載してているデータシートを言う。現場によっては、パラメータシートを別名でモデルシートと呼んでいるそうだ。パラメータシートは設計構築を行う上で要となるので、案件参画後は早急に確認することが望ましい。
2.パラメータシートの読み方 ◆下記のサンプルを元にパラメータシートの読み方を説明する。 まず、私の経験上どこの現場でも共通している項目について触れていく。
※図1参照
・機種名 項目名の通りだがこの項目には対象機種名を記載する。現場によっては機種名を型番と表記している。サンプルの機種名に記載されている機種名はCisco(シスコ)製のネットワーク機器である。 メーカーサイトでは2960 シリーズというカテゴリー分けされて掲載されている。
・OSバージョン OSバージョンについては、configを一度でも見たことがあれば何となくイメージできるだろう。コマンドでshow versionと打つと、上段にOSバージョンが記載されている。
下記の図では③が該当する。
・ホスト名 ホスト名は現場によって命名規則が異なるので一概に言えないが、config上では確認できる。コマンドでshow runnning-configと打つと、序盤に表記されておりhostnameという文字列の後に記載されている。下記の図では⑥が該当する。
・管理IP これは機器に設定されているPアドレスで、実機にログインする際に必要な設定となる。 また、リモート環境で機器にログインする際もこのIPアドレスを利用するので覚えておきたい。
※図1
※図2参照
・vlan/spanning tree設定 ここではvlan、spanning treeの設定内容が記載されている。spanning treeは小規模の現場では設定されていないことがあるので今回は省略する。vlanはどの現場も設定しているので、vlanについてのみ見ていく。図2で記載されているvlan IDについてはコマンドでshow vlanと打つと、下記の図の①で確認できる。
・物理インターフェース設定 インターフェースについて図2では物理インターフェース設定と記載されているが、大半の現場ではインターフェース設定またはインターフェースと記載していることが多い。 図2のportは下記の図では①に該当する。このconfigではportm名は略称で表示されているが、コマンドでshow interfaces fastethernet 0/1と打てば、正式名称で表示される。図2のSpeedは下記の図では⑥、Duplexは⑤、vlan番号は④、Discriptonは②がそれぞれ該当する。ポートステートは下記の図では③を割いているのだが、そのまま表示されているわけではないので少しややこしい。no shutdown、shutdownなのか、下記のようにまとめてみた。
notconnect=no shutdown disabled=shutdown
図2のaccess/trunkは下記の図では④に該当する。accessは1と表記され、trunkはそのままtrunkと表示される。パラメータシートの物理インターフェース設定についてよく見かける項目に関しては解説したが、その他に触れていない項目については、別の機会に解説する。パラメータシートの読み方は一通り触れたが、一部を除いて基本的にconfigのまま記載されているので初見でも苦戦することは少ないだろう。
※図2
3.パラメータシートの書き方 ◆ここではパラメータシートを書く上でのポイントをいくつか挙げてみる。このフェーズである程度理解できれば、現場に入っても悪戦苦闘する可能性は低いだろう。
・既存のパラメータシートを活用 大抵の現場ではテンプレートまたは既存機器のパラメータシートが存在している。(どちらもない現場は滅多にない) リプレース、新規構築等のプロジェクトに参画する場合は、テンプレートまたは既存機器のパラメータシートがどこにあるのか、どのような内容が記載されているのか等を確認すると良い。また、上記サンプルの図のように現場によって多少の表現方法や記載内容に違いがあれど大枠は同じなので、解説した項目を中心に確認した方が慣れないうちは理解しやすい。ゼロからいきなり書くのはどんなに優秀なエンジニアでもそう容易ではないので、既存のものがあるか確認し、その記載内容を参考にすると良い。
・小項目に記載する内容はconfigにある まず、ここでいう小項目とは図1を例に挙げるとホスト名、図2であればhostnameが該当する。(ちなみに大項目は図1ではインターフェース、図2では3.物理インターフェース設定に当たる。) パラメータシートの記載内容はほぼconfigに載っているので、一旦show runnning-configコマンドを打ってどの値がパラメータシートのどこに該当するのか確認してみよう。 show runnning-configコマンドで見当たらない小項目については、上記で紹介したshow vlan、show interfaces xxxと細かく絞ってみると確認したい値が見つかる。 パラメータシートの書き方を紹介したが、既存のパラメータシートを参考に作成するケースがほとんどなので心配することはない。ある程度流れさえ掴んでしまえば、精度の高いパラメータシートを作成できるだろう。
下記リンクにて画像を引用 https://qiita.com/m-yoshimura/items/2d498a178eee372ba26b
https://www.infraexpert.com/study/ciscorouter3.html
https://www.infraexpert.com/study/vlanz4.html
https://www.infraexpert.com/study/catalyst5.html