ルーティング設定をマスター!実務でよく使うコマンドとトラブルシューティング

1.ルーティングとは
ネットワーク上でデータ(パケット)を、最適な経路で目的地に届けるための仕組みを指す。また、ルーティングはサブネットマスクのネットワーク範囲を超えて、
別セグメントに通信を橋渡しをする際に使用される。
◆ルーティングの種類
・スタティックルーティング(静的)
スタティックルーティングとは、ネットワーク管理者がネットワーク機器に手動で経路情報を登録する方法である。「静的ルーティング」とも呼ばれ、
主に小規模なネットワークで、必要な経路情報が少ない場合に利用される。
・ダイナミックルーティング(動的)
ダイナミックルーティングとは、ネットワークにおいて、複数の経路から最適な経路を選択するための仕組みのことを指す。
自動的にルート(経路)を決定・更新をするのでネットワークの構成変更や障害が発生した際に有効である。また、管理の手間がなく大規模ネットワークに適している。
2.実務でよく使うコマンド
ここでは、スタティックルーティングとダイナミックルーティング(ospf、BGP)の設定コマンドを紹介していく。
・スタティックルーティング
スタティックルーティング設定時によく使うコマンドは下記の通りとなる。
ip route network mask ip-address | interface[distance][permanent] ←ルーティング設定コマンド
ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 xxx.x.x.x ←デフォルトルート設定コマンド
コマンドだけではイメージが付きにくいので例を用いてみる。
例)スタティックルーティング
以下の図を例にパソコンとサーバーで通信出来るようにするスタティックルーティングの設定を説明する。
スイッチAにスタティックルーティングの設定をする前にVLANにアドレスを設定したり、インターフェースにVLANを割り当てたりする必要がある。
【IPアドレスの設定とVLANのインターフェースへの割り当て】
赤字のip routingはルーティングを有効にする設定のため、上記設定によりVLAN間でルーティングが出来るようになる。
スタティックルーティングを行うためには以下の設定をする。
【スタティックルーティングの設定】
宛先のアドレスを172.16.3.0、サブネットマスクを255.255.255.0と設定する事で、172.16.3.0のサブネットに対するゲートウェイは172.16.2.2と定義している。
スイッチBでもスイッチAと同様だが、VLAN10と20ではなくVLAN20と30の設定を行い、
ip route 172.16.1.0 255.255.255.0 172.16.2.1とスタティックルートの設定をする。
スイッチAとBに設定を行う事でスタティックルーティングを利用してVLAN間ルーティングによりVLAN10と30の間で通信が可能となり、
パソコンとサーバー間の通信が出来るようになる。
デフォルトルートの設定はVLAN間ルーティングが設定されていることを前提とすると、以下のように行う。
【デフォルトルートの設定】
サブネットマスクの部分が0.0.0.0になっている。IPアドレスとサブネットマスクのAND計算をすると0.0.0.0となり、デフォルトルートを示す事になる。
・ダイナミックルーティング(ospf) ダイナミックルーティング(ospf)設定時によく使うコマンドは下記の通りとなる。
router ospf process-id ←OSPFプロセスの起動
※ OSPFプロセスを無効化したい場合は no router ospf proccess-id を入力する。
OSPFを有効化するインターフェースとエリアを指定するためにはnetworkコマンドを使用する。
有効化するインターフェースの指定方法は複数あるが、有効化したいI/Fを指定できていれば良く、設定方法は好みの問題である。
以下のコマンドは router ospf 1 でOSPFプロセスを起動し、OSPFコンフィグモードで設定する。
OSPFを有効化するインタフェースの指定、エリアの指定
network address wildcard-mask area area-id
172.16.1.1/24のIPアドレスが割り当てられたI/Fを、エリア0としてOSPFを有効化したい設定例となる。
設定例 1 : (config-router)# network 172.16.1.0 0.0.0.255 area 0 設定例 2 : (config-router)# network 172.16.1.1 0.0.0.0 area 0
・ダイナミックルーティング(BGP)
ダイナミックルーティング(BGP)設定時によく使うコマンドは下記の通りとなる。
router bgp as-number ←BGPプロトコルの有効化
neighbor ip-address remote-as as-number ←BGPピアの設定
network network mask mask ←自分のAS内ルートのアドバタイズ設定(オプション)
下記はBGPの設定例となる
下図を前提にコンフィグ設定例を紹介する。
・ BGPは、EIGRPやOSPFのようにマルチキャストで動的にネイバーを自動検出することはできない。
・ 自分のAS内のネットワークをBGPルートとしてアドバタイズする時はnetworkコマンド使用する。
・ networkコマンドで通知するための前提はそのルートをルーティングテーブルで学習していること。
・ 自分のAS内のネットワークを通知する必要がない場合には、networkコマンドの設定は必要はない。
BGPの設定例
R1(config)# router bgp 1
R1(config-router)#neighbor 3.0.0.2 remote-as 2 R1(config-router)#network 1.1.1.0 mask 255.255.255.0
R2(config)# router bgp 2
R2(config-router)#neighbor 3.0.0.1 remote-as 1
R2(config-router)#network 2.2.2.0 mask 255.255.255.0
3.トラブルシューティング
◆トラブルシューティングとは、システムやネットワーク、ソフトウェアなどで発生した問題の原因特定し、
解決する一連の作業のことを指す。ルーティングにおけるトラブルシューティングの調査方法として以下のコマンドが挙げられる。
ping [宛先IPアドレス] ←接続確認
→応答なしならネットワーク到達性に問題あり。
show ip route ←ルートテーブルの確認
→宛先ネットワークがルーティングテーブルにあるか確認し無ければ問題あり。
show running-config | include ip route ←ルーティングプロトコルの状態確認(スタティックルート)
show ip ospf neighbor ←ルーティングプロトコルの状態確認(ダイナミックルーティング(ospf))
show ip bgp summary ←ルーティングプロトコルの状態確認(ダイナミックルーティング(BGP))
traceroute [宛先IPアドレス] ←経路確認(トレースルート)
→どこで止まっているか、どの経路を通っているかを確認
参考文献