スクラムマスターとPMの違い|役割と仕事内容、スキルについても解説

日々の業務に向き合うことに疲れ、自分のキャリアに伸び悩みを感じているエンジニアが少なくありません。
正社員エンジニアもフリーランスエンジニアもキャリアアップの具体的なイメージが湧きにくく、将来への不安を感じている方もいるでしょう。
そのような方に、スクラムマスターやPMは魅力的なキャリア選択肢です。
この記事では、スクラムマスター(SM)とプロジェクトマネージャー(PM)を詳しく解説します。それぞれの仕事や役割の違い、キャリアパスなどもまとめているため、イメージしやすいでしょう。
ぜひこの記事を読んで、自分のキャリアへの選択肢の参考にしてみてください。
目次
スクラム開発とは

ソフトウェア開発にはアジャイル開発やウォーターフォール開発、プロトタイプ開発、スパイラル開発などがあります。
そのうちアジャイル開発には、XPや動的システム開発手法(DSDM)があり、スクラム開発もそのなかに含まれます。
スクラムマスターの役割を知る前に、スクラム開発の構成と流れなどの仕組みを理解することが必要です。
スクラムチームの構成
スクラム開発では、基本的に5~9人ほどのチームで約2~4週間かけて新しい機能を開発します。
スクラムチームは、プロダクトオーナーとスクラムマスター、開発チームの3つの役割で構成されることが一般的です。
プロダクトオーナーは、プロジェクトの責任者です。大切な役割としてスクラムチームのメンバー以外のステークホルダーの意見や意向、意思決定などを取りまとめ、スクラムチームに共有することが挙げられます。
ステークホルダーは経営者や関連事業部門、株主など、主に発注者側の利害関係者のことです。開発するアプリやシステムによってステークホルダーの種類や範囲、関与方法は異なります。
スクラムマスターは開発メンバーが効率的にタスクをこなせる環境づくりや、タスクの進捗管理を担います。
開発メンバーは、デイリースクラム(ミーティング)で進捗を確認しながら、ソフトウェア開発を行うのが仕事です。
スクラム開発の流れ

スクラム開発の流れは、以下のとおりです。
- スプリント計画
- デイリースクラム
- スプリントレビュー
- スプリントレトロスペクティブ(振り返り)
スプリント計画では、プロダクトオーナーが作成したプロダクトバックログ(要件リスト)のステータスがTodoタスクから今回のスプリントの開発を決定します。Todoタスクのほかにタスクの種類には、OnGoing(対応中)とinreview(成果物の評価中)、Done(完了)があります。
一回のスプリント(開発期間)は約2~4週間が基本です。毎日行われるデイリースクラム(ミーティング)で進捗を慎重に確認しながら開発を進め、成果物を仕上げます。
スプリントレビューでは、開発した機能について確認します。
機能に問題がないと判断されたら、次のステップはスプリントレトロスペクティブです。今回のスプリントで発生した課題や問題点を挙げ、解決策を検討します。ベロシティ(開発チームのパフォーマンス)をもとに、次のスプリントがスケジュールどおり進められるかを判断する重要なポイントです。
すべて完了すると、次のスプリントに移ります。スクラム開発は、スプリントを何度も繰り返すことが特徴です。
スクラムマスターとは

スクラムマスターとは、チームの自己組織化を促し、円滑な開発進行を支える存在です。スプリント会議や日々のコミュニケーションを通じて課題を早期に発見・解決し、メンバーが集中して開発に取り組める環境を整えます。
スクラムマスターとして必要なスキルには、ファシリテーション能力や問題解決力、アジャイル・スクラムの理解、そしてコーチング力が挙げられます。
以下では、スクラムマスターの役割や仕事内容、必要なスキルについて詳しく解説します。
スクラムマスターの役割
スクラムマスターの主な役割は、以下のとおりです。
- スクラムの導入と促進
- ファシリテーション
- 障害解決
- 自己組織化のサポート
チームの円滑な運営や問題解決のサポートなどが主な役割とされています。上司という立場ではなく縁の下の力持ちのような存在です。自己組織化されたチームが自立して積極的に動けるように導きます。
開発における課題や問題などを取り除くことも重要な役割の一つです。たとえ無理な依頼や干渉があっても、チームが集中して開発に取り組めるように、スクラムマスターがバッファ役として行動します。
スクラムマスターのサポートや環境づくりによって、メンバーは目標に向けて開発を進めることができます。
スクラムマスターの仕事内容

開発チームをさまざまな面からサポートすることが、スクラムマスターの主な仕事です。
チーム内のコミュニケーション向上を目的として、スプリント計画会議やデイリースクラム、スプリントレビュー、スプリントレトロスペクティブなどの機会を定期的に設け、円滑に業務を進めます。
システム開発には、チームの協力が欠かせません。意見が言い合える心理的安全性のある環境では、チームの雰囲気づくりや信頼関係の構築にも効果的です。
他部署の調整や人手不足、ツールの不備など、チームが抱える課題や問題を解決に導きます。特定のメンバーに負荷がかかりすぎないようにタスクを調整することもあります。
定期的にミーティングを行うことで、問題や課題を早期に発見することが可能です。
導入するスクラムの理念やメリットを組織内のメンバーやステークホルダーに伝えて理解を深めることも重要な仕事の一つです。チーム外にもスクラムの有用性を伝えることで、開発チームが働きやすい環境づくりとなります。
スクラムマスターに必要なスキル

スクラムマスターとして活躍するために身につけるべきスキルは、以下のとおりです。
- ファシリテーション能力
- 適切なゴール設定と計画力
- コーチングとメンタリングスキル
- 問題解決能力
- アジャイル開発とスクラム開発への理解
ミーティングでメンバーの意見を引き出しチームをまとめるため、ファシリテーションスキルが求められます。
タスクごとに振り返りができるスクラム開発は、スケジュール管理が難しい傾向にあります。プロジェクトを効率的に進めるには、適切なゴール設定と計画力が重要です。
場合によっては柔軟に対応しなければならないため、アジャイル開発とスクラム開発の仕組みを理解することが必要です。
またコーチングスキルがあれば、各メンバーが自立して動くために必要な能力開発のサポートができるでしょう。一方的に伝えるだけでなく、相手の気持ちに寄り添うことで、メンバーとの信頼関係を構築しモチベーションを高めることが期待できます。
スクラムマスターは、プロジェクトに対する障害を取り除く役割もあります。自分一人で抱え込まず、問題を解決できるメンバーを把握し指示を出す柔軟性も必要です。
もし必要なスキルがない場合でも、テクニケーションならスキルアップやスキルチェンジを諦めなくてよい環境を整えています。
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チームでさまざまな案件に取り組むことによって、一人ひとりのエンジニアの可能性も広がります。スクラムマスターに必要なスキルがなくても、テクニケーションで挑戦してみませんか。
スクラムマスターに興味のある方は、ぜひ一度テクニケーションのカジュアル面談でご相談ください。
PM(プロジェクトマネージャー)とは

スクラムマネージャーと混同されることがあるポジションが、PM(プロジェクトマネージャー)です。クライアントや経営層の期待に応えるため、計画立案から実行、監視、完了まで幅広いフェーズでプロジェクトを推進します。
スクラムマスターと混同されがちですが、PMは全体の統括と責任を担う立場である点が大きな違いです。ここでは、PMの役割や仕事内容、必要なスキルについて解説します。
PMの役割
PMはプロジェクトチームの責任者として、予算や要員、進捗の管理と計画の作成などを行うポジションです。クライアントや経営層から求められた成果をしっかりと出すことが求められます。
プロジェクトによって数人~数十人の小規模なものから、数百人規模の大プロジェクトをまとめる場合もあります。開発チームや営業、顧客、外注先など多くの関係者をつなぐ調整役です。
課題やリスクが発生した場合は、優先順位を決めたり方向性を修正したりなど、的確な判断と決断を下す役割もあります。
PMの仕事内容
PMの仕事は計画・実行・監視・完了の各フェーズそれぞれで行うため、多岐にわたります。
目標を明確にし、プロジェクトの実行計画を立てます。その際、必要な人員やリソースを調達し、発生する可能性のあるリスクも把握することが必要です。
プロジェクト実行中は、円滑に開発が進むように予算・納期・要員・品質などの管理を慎重に行います。チーム内や顧客などと意見の相違がある場合は、調整することも必要です。
随時プロジェクト関係者にプロジェクトの進捗状況や課題を報告し、必要があれば協力を求める場合もあります。
プロジェクト終了時は開発したシステムの資料を作成し、顧客が適切に使えるように説明および教育も担当します。さらに、システムの運用や管理に必要なドキュメントをまとめたり、今後のプロジェクト開発に生かすために今回のプロジェクト開発の記録をまとめたりすることも重要な仕事です。
PMに必要なスキル

PMに必要なスキルは、以下のとおりです。
- リーダーシップ
- タスク管理
- 予算管理能力
- コミュニケーション能力
- 柔軟な対応力
- 専門知識と豊富なプロジェクト経験
プロジェクト全体の指揮と管理を担うため、リーダーシップやタスク管理が必要です。プロジェクトで発生する課題に対処する際には、専門知識と豊富なプロジェクト経験が役立ちます。
トラブルが発生した場合には、関係者との調整にコミュニケーション能力や柔軟な対応力が求められます。
計画どおりに成果物を納品するためには、適切なタスク管理と予算管理能力も必要です。
スクラムマスターとPMの違い

スクラムマスターとPMは似ていますが、明確な違いがあります。
スクラムマスターはファシリテーターというポジションのため、チームの成長と自己組織化を目指します。それに対し、PMはプロジェクトの責任者でプロジェクトの成功が目標です。
スクラムマスターはメンバーが働きやすいようにチーム全体の環境整備やサポートを行い、自己組織化できるよう促すことが仕事です。一方でPMは、成果物を納期までに作成できるように的確な指示や判断が求められます。
それぞれの仕事と役割の違いを理解し、自分に適したキャリアを選びましょう。
スクラムマスターとPMのキャリアパス

スクラムマスターとPMのキャリアパスにはそれぞれ特徴的な成長の方向性があります。スクラムマスターは組織全体のスクラム開発の成熟度を高める役割を果たしますが、PMはプロダクトやビジネス全体の統括を目指すケースが多いです。
ここでは、スクラムマスターとPMのキャリアを選択した場合、どのような成長が期待できるかを解説します。自分のキャリアの未来像をイメージしてみましょう。
スクラムマスターのキャリアパス
スクラムマスターは、組織全体のスクラム開発の成熟度を高める役割を担うキャリアへ進むことが多く、主に4つの選択肢があります。
- シニアスクラムマスター:複数のスクラムチームを横断的に支援しスクラムマスターの専門性向上も可能
- アジャイルコーチ:スクラムを含めアジャイル全般の導入をサポート
- プロダクトオーナー:ビジネス視点やUX視点、技術視点からプロダクトの方向性を決定
自分の興味や強みを考慮して選びましょう。
PMのキャリアパス

PMは、プロダクトやビジネス全体を統括するポジションへキャリアアップするケースがほとんどです。
- シニアPM:大規模案件に携わり複数の開発チームを統括および戦略的なプロジェクト運営を行う
- プロジェクトマネジメントオフィス(PMO):PMの経験を活かし複数のプロジェクトの適切な管理を支援可能
- プロジェクトディレクター:複数のプロジェクト全体を管理し戦略的に指揮する
- CTO:技術戦略の意思決定や技術経営、エンジニアのオファーと教育など行う最高技術責任者
- 事業責任者
自分の志向や得意分野を考慮して選ぶことで、自分らしく活躍できるでしょう。
私たち高還元SES企業のテクニケーションでは、エンジニア一人ひとりのスキルや希望に合わせた働き方を実現できます。
案件選択制やチーム制はキャリアの可能性を広げます。自分のスキルや経験で諦めることなく、自分が希望するキャリアに合わせた案件を選択できるため、モチベーション向上にもつながるでしょう。
実際にテクニケーションでは、多くの若手エンジニアが自分の希望を叶え、スキルチェンジもしています。テクニケーションで、スキルを大きく向上させたエンジニアは年収アップも実現しています。
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スクラムマスターやPMに向いている方

スクラムマスターやPMの仕事に向いている方には、いくつか共通する特徴があります。具体的には、客観的な判断力や、チームに対して貢献する能力などです。
ここでは、スクラムマスターやPMの仕事に向いている方の特徴について詳しく解説します。
客観的な判断ができる
スクラムマスターはファシリテーターのため、感情的にならず冷静で公平な立場でチーム全体をサポートする必要があります。
PMはさまざまなステークホルダーとの調整役のため、客観的な立場で行動することが必要です。
チームのために働くのが好き
スクラムマスターもPMも一人で行う仕事ではありません。チームと協力してゴールを目指す必要があります。
スクラムマスターはチームの成長や自己組織化の促進など、縁の下の力持ちとしてチームの貢献にやりがいを感じられる方が向いているでしょう。
PMもプロジェクトの成功のために、メンバーを信頼して安定感あるマネジメントを行うことが大切です。協調性がありチームのために働くのが好きな方が向いているといえるでしょう。
人を育てるのが好き

人を育てるのが好きな方は、相手の立場になって物事を考え行動できる方でしょう。
スクラムマスターは、スクラムの手法やアジャイル開発について教える役割があります。そのうえ、ファシリテーターとしての立場から定期的なスクラムのミーティングにおいて意見の言いやすい環境を構築することが必要です。
一方で、チームの成長がプロジェクトの成功に直結するため、PMはチームメンバーの力を引き出す役割があります。
心理的安全性のある職場では、チーム内の信頼関係が得やすいとされています。リーダーシップを持ってプロジェクトに関わるPMは、どのような環境でも円滑な人間関係を構築することが必要です。
スクラムマスターやPMとしてステップアップを目指すなら

スクラムマスターとPMは目的や立場、成果物などが異なりますが、いずれもプロジェクトチームにおいて欠かせない存在です。
しかし、スクラムマスターやPMへのステップアップの実現には、適切なSES企業を選ぶことが重要です。
高還元SES企業であるテクニケーションでは、「頑張りがあたりまえに報われる」仕組みとして、チーム制・案件選択制・単価給与連動性を導入しています。
テクニケーションでは、エンジニアが自分の経験やスキルに合った案件を選択できます。ステップアップを希望する場合でも、経験豊富な先輩のフォローのもとで挑戦可能です。
また、単価と連動した給与が設定されているため、市場価値に見合った収入を得られます。さらに単価が開示されているため、安心感を持って働くことができるでしょう。
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