通信、金融、小売、官公庁…:多様な業界 NWプロジェクト経験から得た学び

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1.案件参画前の印象

◆様々な業界の案件にこれまで参画したが、参画前は次のような印象を持っていた。

・官公庁

職場の雰囲気を始め、職員も含めて全体的に堅い、社内外ネットワーク周りの構築でも

綿密かつ慎重に構築していくイメージ。

・金融

セキュリティ面が業界一厳しく、建物への入館時に厳密な手荷物検査、持ち込める物の制限、

資料(基本設計書、詳細設計書、config、テスト関連手順書等)が誤って漏洩しないよう万全のセキュリティで管理されているイメージ。

・通信

ネットワークの障害や遅延が起きないよう構成が広範囲かつ細分化されている、特にFW(ファイアウォール)、RT(ルーター)周りの設定が他の業界より細かく設定しているイメージ。

・小売

上記の業界ほどは細かく整備されていなく、セキュリティ面、ネットワークの構成等は簡易的過ぎず、

複雑すぎない程度といった中立なイメージ。

2.案件参画後の印象

案件参画前は上記のような印象ではあったが、参画後はこのような印象を持った。

・官公庁

想像よりは全体的に堅いイメージはなくやや和やかな雰囲気であった。ネットワーク周りの構築に関しては、扱う機器の数(多い拠点で数百台程度)は多いものの全体的に複雑な構成ではなかった。

予想される理由は客先に有識者がいないケースが多く、シンプルな構成であれば誰が担当でも把握できる。機器としてはL3SW(レイヤ3スイッチ)、L2SW(レイヤ2スイッチ)、FW(ファイアウォール)、RT(ルーター)を扱っていた。

メーカーとしてはほとんどCisco(シスコ)であった。

プロジェクトの進行速度としてはあまりゆとりが無くタイトなスケジュールの現場が多かった。

・金融

参画前の印象と概ね同じで、セキュリティ面が全体的に厳しかった。

具体的にはこのようなルールが設けられていた。

1.出社する際は指定PC(客先貸与のPC)以外は持ち込み及び使用禁止。

見つけ次第、元請けに報告しその後謝罪と厳重注意、場合によってはセキュリティ事故扱いで現場をクビ

2.持ち込んだPCは必ずワイヤーロックをかける(無い現場もある)

3.既存機器へログインする際はまず、Hyper-Vを立ち上げ(貸与PCからいきなりログインはNG)そこから踏み台サーバ(いきなり対象機器にログイン出来ないように対象機器までに中継する機器または仮想マシン)を2つ程度挟んだ後にログインする

4.新規既存機器、構築専用の端末に対してそれぞれユーザー毎にログインパスワードを設定する。

パスワードを3回誤ってしまった場合はロックがかかり、解除するにはプロジェクトリーダーと客先に申請しなければならない。ロックの理由によっては厳重注意(クレーム対象)となる。

また、新規既存機器及び構築専用の端末が置かれている部屋に入るにはセキュリティカードが無ければ入室出来ない形を取っていた。資料管理に関しては他の業界と差分は無く指定のファイルサーバに格納する形が多かった。

・通信

ネットワークの構成は大規模であったので色んな種類の機器(L3SW(レイヤ3スイッチ)、L2SW(レイヤ2スイッチ)、FW(ファイアウォール)、RT(ルーター)、LB(ロードバランサー))を大量に扱っていた。メーカーとしては主にCisco(シスコ)が多かった。

FW(ファイアウォール)、RT(ルーター)の設定内容に関しては想像通りルーティング、アクセスリスト等が細かく分けられており、私はFW(ファイアウォール)をメインで業務を行っていた。

具体的な業務内容としてはアクセスリスト、オブジェクト、オブジェクトグループの追加及び削除を行っていた。業務内容そのものは当時経験が浅かった私でもすぐに慣れたが、似たような名前のアクセスリスト、オブジェクト、オブジェクトグループが非常に多かったので誤って設定しないよう確認に時間を多く費やした。

・小売

客先によってはまちまちではあるが、ネットワークの構成は官公庁に似ていた。拠点が多々あったので色んなメーカーの機器を扱っていた。(Cisco(シスコ)、F5 Networks、HP、Fortinet(フォーティネット)等)

3.案件参画後の気を付けておくポイント

◆業界問わず下記の点を気を付けて欲しい。

・パスワード管理

どの現場も貸与PC、機器へログインするには必ずパスワードを設定しなければならない。

そして、定期的にパスワードを変更しなければならないルールを設けているので、新旧パスワードと混同しないようにメモ帳、エクセルシート等に記載して管理するのが望ましい。

私の場合は、メモ帳に現在のパスワードと変更後のパスワードを記載し変更した際はいつ変更したか日付を記載して管理していた。(過去設定したパスワードは数回前までは流用出来ないルールを設けている現場もあるので区別していた)

また、パスワード入力は手打ちではなくコピー&ペーストをおススメする。(手打ちだと誤る可能性があるため)

・貸与物の管理

紛失してしまうとセキュリティ事故になり、個人の問題だけではなくプロジェクト全体に被害が及ぶので

無くさないように各自厳重に管理する必要がある。

例えば、貸与PCを入れたカバン、リュックは電車移動の際に極力網棚には置かない、セキュリティカードはカバン、リュックの内側のチャック付きのポケットにしまう。

・エスカレーション

セキュリティ事故や何か問題があった時に早急に連絡出来るように、エスカレーション先を案件参画後は初日に確認する。

エスカレーションが遅れてしまうとセキュリティ事故の場合は前述した通り個人の問題だけではなく、プロジェクト全体に被害が及ぶので、早急にエスカレーション出来るように確認しておく必要がある。