可読性を高めるコード術!保守しやすいシステムを作るための開発思想

私は普段からコードを書く際に、「誰が見てもわかりやすいこと」を強く意識しています。これは決して他人のためだけではなく、自分自身のためでもあります。
一度書いたコードでも、数日後見返したときに「あれ?この処理って何してたんだっけ?」と記憶が曖昧になることは度々あります。そのたびにコードを読み直し、変数や関数の関係を理解し直すのは、意外に脳のリソースを使います。積み重なると地味に疲労し、他のタスクにも影響が出てしまいます。
おそらく、優秀なエンジニアであれば、多少複雑なコードでも瞬時に理解してしまうのかもしれません。しかし、私はそうではありません。ごく一般的なレベルのエンジニアだからこそ誰が見てもわかりやすいコードにすることで自分自身にとってよい環境を整え、それが最終的にチーム全体の生産性を高めることにつながるのではないかと考えます。
読みやすさのために意識していること
1. 名前だけで機能が想像できる命名をする
メソッドや関数、変数が増えてくると、「どのコードが何をしていたのか」を記憶だけで把握するのは困難になります。そんなとき、命名が分かりやすければ、一目見ただけでおおよその処理内容を想像できます。
例えば、getUserData()という名前であれば、「ユーザーデータを取得する処理なんだな」と直感的にわかります。一方で、ただのget()やfunc1()では、毎回中身を開いて確認する必要があり、時間と集中力が奪われてしまいます。
日々の小さな工夫になりますが、命名によりコード全体の理解コストを大きく下げ、保守性を高めると実感しています。
2. 命名規則を守る
命名はわかりやすいだけでなく、統一感があることも非常に大切だと感じます。
たとえば、以下のような命名スタイルがあります:
UserName:各単語を大文字でつなげたパスカルケース(クラス名などに使われやすい)
userName:パスカルケースと同じで最初の文字を小文字にするキャメルケース(変数名・メソッド名などに多い)
user_name:各単語を小文字とアンダーバーでつなげたスネークケース(Pythonなどでよく使われる)
USERNAME:定数(const)によく使われる全大文字+アンダースコアで表現するコンスタントケース
現場や使用言語によって適切なスタイルは異なりますが、プロジェクト内で一貫性を持たせることは、読みやすさ・可読性を保つうえで非常に重要です。
統一感のない命名は、処理が正しく書かれていても「なんとなく読みにくい」「気持ち悪い」と感じさせる原因になります。特にチーム開発では、スタイルガイドや命名規則を守ることが、暗黙の信頼や連携の円滑化にもつながると考えています。
3. ロジックをシンプルにする
関数やメソッドの中に複数の役割を詰め込むと、何をしているのかが分かりにくくなり、後の修正や仕様変更に対応しづらくなります。
私は「1つの関数=1つの責務」を基本に、処理を小さく分割するように意識しています。たとえば、入力チェックとデータ整形、DBアクセスなどは別々のメソッドに切り出し、それぞれが何をしているかが明確になるように設計しています。
また、条件分岐やループが多くなりそうな場合は、早期リターン(guard句)を使うことでネストを減らし、コードをスッキリ保つ工夫もしています。
読み手が処理の全体像を一瞬で掴めるようなコードが、保守性や改修効率を高めると感じています。
4. 必要に応じてコメントを書く
「この処理、なぜこうなっているんだろう?」
未来の自分がそう思ったとき、コメントがあると非常に助かります。
特に、通常の流れと異なる例外的な処理、業務ロジックに依存する仕様、パフォーマンスを意識した特殊な書き方などは、背景や意図を簡潔にコメントしておくだけで、読み手の理解がグッと楽になります。
もちろん、すべての行にコメントをつける必要はありません。「説明が必要な部分」に絞って書くことが大事です。コードとコメントのバランスもまた、可読性の一部です。
まとめ:誰でもできる、だからこそ差がつく
ここまでご紹介した内容は、どれも高度なテクニックではありません。誰でもすぐに実践できる基本的な工夫ばかりです。
しかし、これらを意識しているかどうかで、コードの品質やメンテナンス性は大きく変わります。
読みやすいコードは、それだけで開発のスピードを上げ、バグの発生を防ぎ、チームの信頼関係を築きます。読みやすさは、開発スピードや品質を守る“見えない武器”だと私は思っています。
私自身、まだまだ成長途中のエンジニアですが、「未来の自分を助ける」「チームの誰が見ても理解できる」を常に意識しながら、これからもコードと真摯に向き合っていきたいと思います。